PJ・タッカー

クリッパーズには合流せず、まずはトレードを模索

クリッパーズはPJ・タッカーと双方合意の下で、タッカーが『少なくとも当面の間は』チームから離れることを発表した。タッカーは2022年オフにセブンティシクサーズと3年契約を結び、2年目の昨シーズン序盤、ジェームズ・ハーデンを中心とする大型トレードの一部としてクリッパーズに移籍して来た。

派手なプレーこそないが、相手のエースにしぶとく食らい付いて良さを消すディフェンスの名手で、2巡目指名で海外でプレーする期間を挟みながらも39歳の今までNBAで長くキャリアを築いてきた。ハーデン時代のロケッツでロールプレーヤーとしての評価を確立した後、バックスではエースキラーとしてNBA優勝に貢献し、その翌年にはヒートのNBAファイナル進出にも力を発揮した。

プレーオフでの勝負強さが評価されて2022年の3年3300万ドル(約50億円)という高額契約に繋がったが、その時点で37歳とピークを過ぎつつあった。ハーデンとの相性の良さが評価に含まれていただけに、シクサーズはハーデンを放出する際にタッカーも移籍させた。クリッパーズではベンチから出てディフェンスで試合のリズムを立て直す役割を期待されたが、シーズン序盤の加入で順応する時間はあったにもかかわらず本領発揮には至らないまま。

シーズン途中にはメディアに「移籍したい」と発言し、一時はチームから外されるなどクリッパーズに馴染めずにいた。この時、彼は「自分が必要とされる場所に行きたい。そうなることを願っている」とコメントしている。移籍は実現せずにクリッパーズでプレーを続けたが、重要な役割は与えられなかった。そして今シーズンの始動に際しても、彼はチームに合流していなかった。

今シーズンが契約最終年で、タッカーは1150万ドル(約17億円)のプレーヤーオプションを行使したが、デリック・ジョーンズJr.にニコラス・バトゥームとディフェンスのできる新たなウイングを獲得したクリッパーズはもはやタッカーを戦力としておらず、チームから外す決断を下した。まずはトレードを模索し、それでも行き先が決まらなければバイアウトに合意することになるだろう。

今のタッカーに1150万ドルを支払うチームは出てこないように思える。だが、契約を解除して格安の年俸で獲得できるとなれば、彼の経験と勝負強さを評価するチームは出てきそうだ。