ロスコ・アレン

第4クォーター後半、鎌田投入によるビッグラインナップが機能して粘る信州を振り切る

9月22日、天皇杯2次ラウンドで川崎ブレイブサンダースと信州ブレイブウォリアーズが対戦。ともにアップテンポな展開からゴール下へアタックして得点を量産するハイスコアリングゲームとなったが、最後の勝負どころでディフェンスで踏ん張った川崎が98-91で激闘を制した。勝利した川崎は本日に群馬クレインサンダーズと3次ラウンド進出をかけて対戦する。

試合の立ち上がり、主導権を握ったのは川崎でガード陣の力強いアタックによって先行する。しかし、信州は前日の試合を欠場していたペリン・ビュフォードが第1クォーター残り5分半にコートインすると、人数をかけて守りにくる川崎に対しビュフォードがオープンになった味方に的確にパスをさばくことで盛り返し、28-29で第1クォーターを終える。

その後も一進一退の攻防が続き、接戦のまま試合は進んでいく。だが、第4クォーター中盤、川崎の選手交代が試合の流れを変える大きなきっかけとなる。この試合、川崎はビッグマンのサッシャ・キリヤ・ジョーンズが故障欠場しており、ロスコ・アレン、アリゼ・ジョンソンの両外国籍ビッグマンに大きな負担がかかっていた。そんな中、残り6分に日本人ビッグマンの鎌田裕也が交代のために呼ばれた。ほとんどの人はアレン、もしくはジョンソンと交代し、少しでもどちらかを休ませると思っただろう。しかし、ここで鎌田が交代したのはガードの飯田遼だった。鎌田をセンター、アレンを4番、ジョンソンを3番起用するビッグラインナップを敷いたことで、サイズの優位性を得た川崎は、ディフェンスの強度を高めることに成功。鎌田の身体を張った献身的なプレーも光り、第4クォーター残り6分以降の失点をわずか5に抑え、25-15とビッグクォーターを作り出すことで熱戦を制した。

この試合、アレンは35分40秒のフル稼働で30得点12リバウンドと大暴れ。208cmのサイズがありながら抜群の走力を誇り、何度もトランジションオフェンスでレイアップを沈めていった。

「流れが行ったり来たりした試合でした。第3クォーター終盤から第4クォーター序盤にかけて相手が試合をコントロールしていました。そこで僕たちはボールをしっかりプッシュし、力強くフィニッシュしないといけませんでした。それを遂行することで、勝ち切ることができてハッピーです」

ロスコ・アレン

「チームが必要とする仕事をこなす以外にフォーカスすることはない」

こう試合を振り返ったアレンは、勝因を「ディフェンスが大きかったです、いくつか重要なリバウンドを取り、イージーポイントに繋がる2つの鍵となるスティールによって試合の勢いが僕たちに来ました」と語る。

また、第4クォーター後半に勢いをもたらしたビッグラインナップについて、「鎌田は勝利に大きな貢献をしてくれました」と称える。「サッシャ(キリヤ・ジョーンズ)が欠場する中、僕たちが彼に望む5番の仕事を見事にやってくれました。いくつかリバウンドを取り、オフェンスでは素晴らしいスクリーナーとして、他の選手をオープンにしてくれました。試合の大半で僕たちはサイズ面で相手より劣っていたけど、彼が入ることで僕とゼイ(ジョンソン)のポジションを1つ上げて、サイズ面でも対抗することができました」

今シーズンの川崎は、ロネン・ギンズブルグ新ヘッドコーチの下で、攻撃回数を多くする高速バスケットボールを指向している。そして、208cmのアレンが速攻に絡んでいくことで、その爆発力は大きく増している。

チームの変化についてアレンは、「ニック(ファジーカス)が見事なキャリアを過ごして引退し、ネノ(ギンズブルグHC)が来たことでこれまでと違うスタイルになりました。僕たちはこの変化にアジャストし、新しい章をスタートしています」と語る。

また、新たな川崎において、アレンはプレシーズンも含めてスコアリングリーダーになっているが、「自分が何か特定の役割を担うとは考えていないです」と特別に意識していない。「得点に関しては相手のディフェンスのやり方にもよります。今日は良いリズムで得点できました。トランジションでの得点は、チームメートが僕を見つけてパスを出してくれたおかげで、みんなが1対1で攻めるスペースを作ってくれました。チームが必要とする仕事をこなす以外にフォーカスすることはないです」

本日の群馬戦、連戦の2試合目と過酷な状況の中、アレンには再びガード陣と変わらない運動量で走り回ることが求められる。「試合で疲れることもあります。ただ、このためにシーズン前から準備をしてきています」と自信を見せるアレンが、トランジションから得点を重ねることが川崎の勝利には欠かせない。