マイケル・パーカー

文・写真=鈴木栄一

パーカー25得点、守備自慢の栃木から95得点を挙げる

3月30日、勝率でリーグ全体1位の千葉ジェッツが同2位の栃木ブレックスを船橋アリーナに迎え撃つ『B1頂上決戦』の初戦が行われ、マイケル・パーカーの25得点を筆頭にオフェンス爆発の千葉が95-86で快勝した。

第1クォーターはともに相手の激しい守備に苦しみ、千葉の17-13と予想通りのロースコアの出だしとなる。第2クォーターに入ると、千葉は第1クォーターに続きパーカーがゴール下のスペースにタイミング良く飛び込む十八番のプレーで得点を重ねて突き放しにかかる。栃木もジェフ・ギブスが持ち前のパワーを生かしたゴール下で連続バスケット・カウントを決めて渡り合った。

だが、千葉はこのクォーターだけで3ポイントシュート3本成功3本成功の11得点と富樫勇樹が違いを作り出し、さらに得意のトランジションが出始めてリードを広げる。そして前半終了間際に富樫が1対1から得点を決め、41-30と突き放して試合を折り返した。

第3クォーター、栃木は「前半は積極性が欠けていてあまりシュートを打っていなかったです」と言う遠藤祐亮がアグレッシブに仕掛け、前半の無得点から一転、後半開始から約2分半で10得点をマーク。この遠藤の爆発で栃木はすぐに6点差にまで追い上げる。

しかし今日の千葉は、パーカーのファストブレイク、富樫のジャンプシュートによる連続得点などですぐに流れを引き戻す。さらに「今日のゲームで一番ダメだったのはトランディションを抑えられなかったこと」と栃木の安齋竜三ヘッドコーチが振り返ったように、千葉の高速オフェンスは止まらない。第4クォーターも千葉の流れは続き、開始直度にギャビン・エドワーズのシュートで74-53にまでリードを広げる。

富樫勇樹

富樫に引っ張られ、千葉のオフェンスが爆発

その後は栃木も意地を見せ、ライアン・ロシター、ギブスの強力インサイドを軸に残り4分には10点差とするが、反撃もここまで。大野篤史ヘッドコーチが「途中で21点リードまでいきましたが、必ずクロスゲームになると思っていました。細かいところはありますが、タフに40分間、切れず戦った選手たちのおかげで勝てました」と総括したように、慌てず自分たちのプレーを遂行した千葉はそのまま逃げ切った。

この試合、激闘となったのは予想通りだが、リーグ屈指のディフェンスを備えた両チームの対戦にしては珍しい点の取り合いとなった。18得点7アシストでオフェンスを引っ張ったポイントガードの富樫は「そんなにボールが回ったイメージはないので、95点も取れたことにびっくりしています。ただ、ミスマッチも含め効果的に攻めたいところを突けました」と語る。

また、大野ヘッドコーチも「第1クォーターの重たい展開からは想像できないくらいのハイスコアになりました」と振り返る一方で、「コミュニケーションミスなどディフェンスが悪くて取られた点数は少ない。お互いのチームが集中してゴールを決めるんだという気持ちで40分間やり続けた結果だと思います。守備の出来が悪かったという気持ちはないです」と守備の質には合格点を与えていた。

遠藤祐亮

「明日はプライドを見せられるかどうかです」

前半だけで16得点8リバウンド2アシスト3ブロックと、試合の主導権を千葉にもたらす原動力となったパーカーは、「1位と2位の対戦、この2試合がとても大事なことは分かっていた。ここで2敗すると順位にも影響してくるので、初戦を絶対にモノにしたかった」と、まずは初戦を何としても勝ちたかったと強調する。

それは富樫も同じ思いだった。西村文男の故障欠場で負担増が心配されるが、「今日の試合に関しては明日のことは考えていなかったです。今日の1勝を取る思いだけでした。かといって、明日に向けて何も残っていないという身体ではない。そこはうまくコート上でスイッチを入れるところとの使い分けができました」と満足気に語る。

一方、まさかの大量失点を喫した栃木だが、軸となるのは言うまでもなく守備だ。だからこそ、「明日、自分たちのルールをもう一回作り直して挑戦していきたい。今日やられてそのままズルズル帰るのは応援してくださるファンの方に申し訳ない。明日はプライドを見せられるかどうかです」と安齋ヘッドコーチは言う。

そして、「オフェンス能力の高いチームに対し、自分たちのディフェンスの強度が低かったと思います」と遠藤が反省した守備の激しさを取り戻せるのか。栃木にとっては地区優勝への望みを繋ぐとともに、自分たちの拠りどころであるディフェンスの再構築となるか、シーズンクライマックスに向け非常に重要な意味を持つ明日の試合となる。