八村塁

文=鈴木栄一 写真=Getty Images

ファウルトラブルに苦しむ相手を振り切り8強進出

3月28日、NCAAトーナメントのベスト16となるゴンザガ大とフロリダ州立大の試合が行われ、八村塁がチームトップの17得点を挙げたゴンザガ大が72-58で勝利。昨年の同トーナメントで敗れた相手に見事なリベンジを果たした。

試合序盤、フロリダ州立大はゴール下の守護神である224cmのクリスト・クマージが開始約2分でいきなりファウル2つとなりベンチに下がってしまう。この隙を突いたゴンザガは、八村が開始5分半で前回のベイラー大戦と並ぶ6得点を挙げ、10-5と先行する。

その後も激しい守備でターンオーバーを奪うが、フロリダ州立大の素晴らしい戻りにチャンスを作れず、なかなか得点が伸びない。しかし、中盤以降は徐々に得意とするアップテンポの走るバスケットボールを展開するように。そこからの素早いパス回しでジョシュ・パーキンス、キリアン・ティリーが3ポイントシュートを決めて30-17と突き放した。

ここからフロリダ州立大も追い上げを見せるが、終了間際にゴンザガ大はパーキンスがスティールから自ら持ち込んでの速攻でバスケット・カウント。これで38−27と2桁のリードを維持して前半を終える。

後半開始早々、フロリダ州立大はクマージの連続得点で反撃ムードを高めるも、すぐにファウルを犯し、残り約14分半には八村のフェイクにひっかかり4つ目の個人ファウルで再びベンチに下がることに。結局、クマージはこの試合でわずか11分の出場に終わっている。

相手のファウルトラブルにも助けられ、苦戦が予想されていたゴール下での争いでも互角以上の戦いを演じたゴンザガ大は、残り約8分40秒には八村の豪快なダンクで57-47とリードを保つ。だが、フロリダ州立大も後半だけで15得点を挙げたトレント・フォレストの力強いアタックを軸に粘りを見せ、残り4分に4点差にまで追い上げる。

嫌な流れとなったところでビッグプレーを見せたのが八村だった。ハイポストでボールを受けるとゴール下へとドライブ、相手の守備を収縮させたところでアウトサイドのザック・ノーベルJrにパスをさばく。ノーベルJrが貴重な3ポイントシュートを決めて試合の主導権を取り戻したゴンザガ大が、フロリダ州立大を振り切った。

八村は17得点4リバウンド2アシストと中心選手としての責務をしっかり果たした。また、ゴンザガ大はブランドン・クラークが15得点12リバウンド3アシスト4ブロックと奮闘。これでマーク・ヒューヘッドコーチの下では前半で11点以上リードした試合の成績を265勝1敗とほぼ無敗神話を継続させている。