古川孝敏

「京都でなんとしても結果を残したい、今はその思いが何よりも強いです」

今オフ、京都ハンナリーズは積極的な補強を行い、日本人、外国籍選手ともに経験豊富なベテランを獲得した。その中でも注目したいのが、堅実なディフェンスと3ポイントシュートを持ち味とする古川孝敏だ。Bリーグ初年度、栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)をリーグ制覇に導いてファイナルMVPを受賞すると、その後も琉球ゴールデンキングス、秋田ノーザンハピネッツで中心選手として活躍し、昨シーズンも平均2桁得点をマークしている。10月末に37歳となる年齢を感じさせない百戦錬磨のベテランに、京都に移籍を決めた理由、新シーズンへの意気込みを聞いた。

――今回、京都への移籍を決断した1番の理由はどんなところですか

秋田での5シーズンは自分にとって新しい挑戦で、様々な経験をさせてもらえました。そして、たくさんの気づきがあり、本当に成長をさせてもらえました。自分としてもいろいろトライしていく中で、秋田で自分ができることはやりきった、という訳ではないですが、持っているモノをたくさん出せた感触はあります。そして、また新しい挑戦をしたい気持ちが湧き上がっていました。

その中で、(京都に決めたのは)社長の松島(鴻太)さんから熱心に誘っていただき、何よりもその熱い気持ちに応えて一緒にやりたいと。これまで自分が得てきたものを生かしつつ、京都と一緒に成長していきたい思いが大きいです。言い方は難しいですが、自分はどんな形でもいいから勝てば満足という訳ではないです。勝利は大切ですが、チームメート、コーチ、スタッフ陣だけでなく、運営会社の皆さんなど、チームに関わる皆さんと一緒に戦っていくところに、よりやりがいを感じているところがあります。今回の移籍も新しい挑戦ということ以上に、京都でなんとしても結果を残したい、今はその思いが何よりも強いです。

――古川選手は大ベテランといえる年齢になりました。ここ数年、自分のパフォーマンスについて、どんな手応えなのか。衰えを感じることはありますか。

もっと、ああいう風にできたな、とか今度こういうプレーをしたいとか毎年考えていて、まだまだプレーを続けていきたいですし、変えていける部分はあると感じています。衰えがないことはないかもしれません。ただ、それを理由にしたくないですし、若い選手に負けたくない思いは正直に持っています。年齢を重ねるにつれていろいろと変わってきている部分はあります。でも、アプローチの仕方を変えたりするなど、変化に対応できる部分はたくさんあります。年齢を感じさせないプレーができる準備をしっかりしていきたいです。

――Bリーグが始まる前だと、30代中盤には大半の選手が引退していました。でも今は古川選手と同世代で現役の選手も少なくないです。選手として自分の残された時間は少ないと感じることはありますか。

まだまだ、選手としてやりたい気持ちが大きく、時間が少ないとは感じていないです。それより毎年、試行錯誤してどのようにプレーしたいかと考えることの方が多いです。シンプルにバスケットボールが楽しい。今こうして、バスケットボールができることが幸せです。

古川孝敏

「まだまだ新しいことにトライして、身につけられることができると実感できている」

――例えば5年前に比べると、この動きができなくなったとか、そういう変化を感じたり、ストレスを感じることもないですか。

映像を見たら全然違うなと思います。ただ、それに対して自分の中で失望やギャップがあるとはあまり感じないです。あの頃はこれくらいできたのか、というだけでマイナスな気持ちにはならないです。そう思えるのは、今年37歳になりますけど、まだまだ新しいことにトライして、身につけられることができると実感できているからだと思います。今は、5年前とは違うこういう動きができるんじゃないか、という考えでいます。

――キャリアを重ねて今まで積み上げてきたものがあるからこそ、新しいモノを取り入れるのは難しくはないですか。また、すでに確固たる実績を残していながら、変化に貪欲であり続けられる原動力を教えてください。

それはめちゃくちゃ難しいです。どういう部分を新しくしていくのかにもよりますが、いつチャレンジするのかのタイミングだったり、自分の感覚と相談しながらになります。(チャレンジを続けるのは)そもそも、自分のことをすごく良い選手と思っていないからです。もっと成長できるし、これを変えたらさらに良くなれるという感覚です。

――こういった言葉を聞いていると、まだまだ少なくとも4年、5年くらいはプレーを続けるつもりですか。

まだまだ現役を続けていくつもりです。気持ち的には45歳くらいまでやるつもりでいます。そして現役の間は、しっかりとコートに立ち続けたいです。そのためには、技術的なことに加え、バスケットボールとは違うところでの身体に対してのアプローチも変わってくると思います。そこは毎年、いろいろと試行錯誤しています。