「誰かに頼るのではなくチームとして戦えた」
昨シーズン、46勝14敗で中地区優勝を飾った三遠ネオフェニックス。シーズン序盤から先発ガードを務めた佐々木隆成が年末にケガ離脱したが、秋田ノーザンハピネッツから移籍してきた大浦颯太が穴を補う活躍を見せ連勝を続けた。以降、大浦はシーズン終了まで先発ガードを務め、平均24分14秒のプレータイムで9.5得点、2.4リバウンド、5.2アシスト、1.0スティールといずれもキャリアハイの数字を残した。惜しくもクォーターファイナルで敗れたものの、大浦にとっては転換期となるシーズンだった。そんな大浦に昨シーズンの振り返りと、新シーズンに向けての意気込みを聞いた。
——まずチームとして昨シーズンの振り返りをお願いします。
地区優勝できたことはチームとしてもすごく良かったです。今までのクラブの歴史やチームメートの成長を考えると、今後の成長に繋がるシーズンになりました。その中でチャンピオンシップで勝ち切れなかったのは、まだまだ自分たちに伸びしろがあると感じました。いろいろな課題も見つかりましたし、良くも悪くもいろいろあったシーズンでした。
——具体的に成長できた部分はどこでしょうか?
チームとしては佐々木(隆成)や細川(一輝・現群馬クレインサンダーズ)が長期離脱だったり、金丸(晃輔・現佐賀バルーナーズ)さんが複数回の離脱があったりとケガで欠場する選手がいる中でも、残っているメンバーで勝つことができました。そういう状況でも16連勝できたり、チームとして一人ひとりが役割を持って自分のやるべきこと、やらなければならないことをやって、誰かに頼るのではなくチームとして戦えたのは良かったです。
——一方で露になった課題はなんですか?
チャンピオンシップでは、リバウンドを取られてしまったり、チームとして粘らないといけない場面のディフェンスで粘り切れずに相手に得点を許してしまったり、勝てる試合で勝ち切れないことがありました。レギュラーシーズンを通して、平均80~90点取ってきた中で、CSではそこまで取れませんでした。対策されていく中で、自分たちが何をしなければいけないのかという発想を練習から出していかなければいけなかったのかなと思っています。
——大浦選手は中盤以降、先発に定着してスタッツも大きく伸ばしたシーズンでした。ご自身のパフォーマンスはどのように評価してますか?
ここ2シーズン、秋田で試合に出られない時でも腐らずに自分がやらなければいけないことや、自分の強みを消さずにやってきた甲斐がありました。チームスタイルに自分のプレースタイルがマッチしたのもありますけど、チームに貢献できた感触があります。結果が出たのは次に向けての自信にすごく繋がりました。
チームとして90点取れているので、いろんなプレーの組み方が良かったのかなと思います。あとは今までプルアップの3ポイントシュートを打っていませんでしたが、成功率は35%以上でした。今までやってきていないチャレンジだった割にはまずまずだったかなと。
「自分はチャンピオンシップで何もできていない」
——秋田時代にはプルアップシュートのイメージはなかったですが、三遠では求められたのでしょうか?
ピック&ロールからの3ポイントシュートは得意ではないというか、やってきていなかったので確率もそこまでよくないことは分かっていました。秋田ではチームオフェンスを組み立てる中でも、自分に決めきる力がなかったので打っていませんでした。でも三遠に来て「これを打ってほしい」とシーズン始まる前から言われてスキルコーチと練習していき、シーズン終盤に向かって少しずつ入ってきたかなという感触です。
ーーー16連勝していたところから2月、3月のバイウィークを挟み5連敗を喫しました。あの連敗はどのように受け止めていましたか?
連敗が続く中でもチームとしてそこまで崩れていった感覚はなく、むしろ自分の中では負けておいて良かったかなと。負けていい試合なんてありませんが、自分たちが修正をせずにチャンピオンシップに行ってしまうと課題が見えないと思っていたので。もちろん負けたくはなかったですが、結果として負けから学ぶことがあり、成長という意味ではよかったと感じています。
——チャンピオンシップのクォーターファイナル、広島ドラゴンフライズ戦も振り返っていただきたいです。いずれも接戦でしたが、スローペースでディフェンシブな試合展開となり、リズムがつかめないまま終わってしまった印象があります。
トランジションからシュートが打てなかったり、打っても入らなかったりと乗り切れずに難しい展開になりました。スリービッグ編成の大きいチームに対して、自分たちは小さかったので良い形で戦いきれなかった場面が多かったです。ウチの外国籍選手は、インサイドだけでなく3ポイントシュートなどいろんなオフェンスパターンを持っていましたが、高さで止められてしまうこともありました。自分が何か展開を生まないといけなかったと思っていますし、日本人選手も得点していかなければならなかったです。
——大浦選手も2試合ともフィールドゴールの精度に苦しみました。
シンプルに力不足だったと思います。ちゃんと試合に出るのが初めてのチャンピオンシップでしたが、いろんな対策をされる中でも決め切る力をつけないといけないと思いました。戦い方や試合の展開がレギュラーシーズンとは変わってくることを頭の中ではわかっていても、まだまだ決めることができなかったのは今後の課題です。
——思い出したくないかもしれませんが、第2戦の試合終了間際、入れば同点というシュートが外れて、そのままコートに倒れ込み天を仰ぎました。あの瞬間はどのような感情でしたか?
悔しかったです。三遠は日によって誰が得点を決めるかというのが変わってくるチームですが、それでも自分自身の力不足を感じました。自分はチャンピオンシップで何もできていないなぁと。優勝を狙えるチームだったので、負けたというのは心にくるものがありましたね。
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