ロニー・ウォーカー四世

キャリア序盤を過ごしたデリック・ホワイトと再合流

ロニー・ウォーカー四世はNBAキャリア6年目の昨シーズンをネッツで過ごした。58試合で平均17.4分の出場、9.7得点というのがそのスタッツ。2022年にスパーズを離れ、1年680万ドル(約10億円)でレイカーズに加わるも定着できず、ネッツとはベテラン最低保証額の235万ドル(約3億5000万円)で契約。まだ26歳でこれからキャリアの全盛期を迎えようとする彼にとっては不本意な契約で、この1年で評価を勝ち取るはずだった。

しかし、ケガが彼を阻んだ。シーズン序盤はベンチから出る得点源として活躍したが、膝の故障で12月は全くプレーできず。復帰後なかなか本調子を取り戻せないうちにジャック・ボーンが解任されると、アシスタントのケビン・オーリーは将来を見据えて若手にチャンスを与え、1年契約のウォーカーの出番は減ることとなった。

ウォーカーはスパーズで3年目の2020-21シーズン、レイカーズでの2022-23シーズンには30試合以上で先発を務めた経験があり、オフェンスが得意ではあるが全く守れないわけでもない。どのチームでもローテーションに食い込む実力はあるのだが、ケガに弱いという風評が作用したのか、今オフにフリーエージェントとなった彼の行き先はなかなか決まらなかった。

現地8月28日、ようやく決まったのがセルティックス行き。しかもトレーニングキャンプ契約だというから驚きだ。

セルティックスには14人の選手がいて、まだ枠は1つ空いているが、すでにサラリーキャップを大幅に超過しており、トレードなどの動きで余計な出費を減らすには枠を空けて柔軟に対応できる構えをとっておくのが望ましい。つまりセルティックスは枠を1つ空けたままウォーカーをトレーニングキャンプに参加させ、膝などコンディションを実際に確認した上で、不要となればGリーグチームに送り込むことができる。ただその場合、ウォーカーが受け入れることはないだろう。

恐らくウォーカーはどこかのタイミングでセルティックスの一員となる(これによりオシェイ・ブリセットが退団となる可能性が高い)。セルティックスのガード陣はドリュー・ホリデーとデリック・ホワイトが先発し、ペイトン・プリチャードがシックスマンを務める。ウォーカーはこの選手層を厚くするとともに、得点力という点ではやや物足りないガード陣を助けられる。

ホワイトは2017年の1巡目29位、ウォーカーは2018年の1巡目18位でスパーズに指名され、キャリア初期をともに過ごした仲。、ここ数年でホワイトは選手としての価値を大いに高め、今オフには4年1億2600万ドル(約200億円)の大型契約を勝ち取った。ベテラン最低保証額でくすぶっているウォーカーからすれば大きな差を付けられたが、これも良い意味での刺激に変えられるはず。トレーニングキャンプ契約から信頼を勝ち取り、ホワイトのように評価を確立できるか。現状では差があるにせよ、それだけのポテンシャルはある。

高額契約が得られないのであれば勝てるチームで自分の存在感を示すことが、評価を勝ち取るには一番良いという判断なのだろう。NBAプレーヤーとして確たる評価を勝ち取ろうとするウォーカーの意欲は、優勝候補セルティックスをさらに強いチームへと押し上げることになる。