杉本陽飛

「転校生としてではなくゲームキャプテンとして」

8月4日、明徳義塾はインターハイの初戦で桐光学園と対戦した。序盤は動きが重く、自分たちの走る展開に持って行けずに苦戦を強いられたものの、緊張のほぐれた後半に反撃開始。杉本陽飛がオフェンスを引っ張ることで一度は逆転したものの、勝負どころで再び走れなくなり、桐光学園の攻守にバランスの良いバスケに56-60で敗れた。

杉本は3ポイントシュート5本成功を含む21得点と素晴らしい活躍を見せるとともに、キャプテンとして声を出してチームを鼓舞し、劣勢だった試合を接戦へと持ち込んだ。それでも1回戦負けで満足できるはずもなく、「自分たちのミスが敗因です」と悔しそうに語る。

「最初は慌ててターンオーバーから入ってしまいました。後半からしっかりやろうと話して逆転まで行ったんですけど、しっかり決めるべきところを決められなかったり、相手がシュートを外している時間帯に速攻を出せなかったり」

明徳義塾

「決めるべきところを決めきれない」ことが敗因に

杉本は京都出身。KAGO CLUBの司令塔にしてエースとして2022年1月にJr.ウインターカップで準優勝し、和歌山南陵へと進学。それでも学校の経営危機が表面化し、部活動にも学業にも支障をきたすようになって明徳義塾へと転校した。

「先生には本当にお世話になったのですが、いろんな問題があって、そしてたくさんの縁があって明徳に来ることになりました。明徳の練習の雰囲気、試合に対する思いに魅了されて転校しました」と杉本は言う。

明徳義塾にとっても彼の加入は大きかった。点の取れるガードとしての実力はもちろん、リーダーシップも発揮。そんな杉本を転校生でありながらゲームキャプテンに任命した中村哲大ヘッドコーチは「キャプテンとしてチームをよくまとめてくれていますし、寮生活でも模範となっています」と、その姿勢を称える。

ただ、杉本にとっては当たり前のことをやっているにすぎない。やはり考えるのはプレーメーカーとして、エースとしてチームを勝たせられなかったことだ。絶好調の杉本に対して桐光学園はダブルチームで守るようになり、強烈なプレッシャーをかけて勢いを削いだ。それが彼の言う「決めるべきところを決めきれない」、「速攻を出せない」に繋がった。

「1回戦で負けてしまったんですけど、この反省を生かして、ウインターカップではベスト8を、日本一を目指します」と杉本は言う。「もう最終学年ですから、転校生としてではなくゲームキャプテンとしてチームを引っ張りたい。しっかり上を目指して頑張っていきます」