選手個々の特徴が機能的に絡み合う柔軟な戦い方が武器
世界王者ドイツは昨年のワールドカップから主力を変えることなくオリンピックを迎えます。それはチームとしての成熟が進んだ証であり、ベテランから若手まで幅広い世代のタレントが揃い、同じポジションでも異なる特徴を持った選手が機能的に絡み合って、勝利のために柔軟な戦い方ができるロスターが揃っているということでもあります。
ポイントガードにはスピードに優れたデニス・シュルーダーが先発し、ベンチには駆け引きの上手さとシュート力で相手を翻弄できるマオド・ローが控えます。ウイングにはオフボールムーブから態勢が乱れながらでも決めきるシューターのアンドレアス・オベストとウイングスパンを活用したディフェンスで追い込むアイザック・ボンガがいて、試合展開によって使い分けられます。
インサイドも先発はともに合わせのプレーから得点を奪うダニエル・タイスとヨハネス・ボイトマンのツインタワーですが、自ら仕掛けていくモリッツ・バグナーと空いたスペースを見つけて飛び込むのが上手いヨハネス・ティーマンがコートに入ると、ポジションチェンジが多いインサイドコンビにシフトします。このように継続したチーム作りの中で選手の個性が噛み合い、幅のある戦い方が出来るのがドイツの強みです。
チームとしての完成度が上がるにつれて、成長のペースは遅くなるものですが、ドイツには若いタレントが新たな勢いをもたらしています。成長著しい22歳のフランツ・バグナーは、強化試合で208cmのサイズに緩急を織り交ぜた1on1で日本代表のディフェンスを粉砕しました。NBAのスター候補の存在は攻守両面においてチームのレベルを引き上げています。
ウイングのフランツも含めて『高さ』のある選手を並べるのがドイツの特徴で、インサイド側で止められる自信がアウトサイドでのプレッシャーディフェンスにも繋がっています。初戦で対戦する日本代表としては、トランジションを増やしてスピードで先手を取りたいところですが、ベンチメンバーを起用すればスピードに対応することもできるドイツは隙の少ないチームです。
今大会は日本、ブラジル、フランスと同じグループになり、ドイツにとってはガード陣のスピードで振り回してくる対戦国がいない比較的楽な組み合わせとなりました。油断は禁物とはいえ、勝負の決勝トーナメントへ余力を残した形で進めそうです。ワールドカップに続く国際大会のタイトルを獲得し、黄金期を築けるのかが注目されます。