栃木ブレックス

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

栃木の強みが爆発、序盤から試合を支配

栃木ブレックスがホームに京都ハンナリーズを迎えた一戦。立ち上がりから、『堅守速攻』を体現し、第1クォーターを26-9と圧倒した栃木が、すべてのクォーターで上回り92-60と快勝。レギュラーシーズンの14試合を残し、早々にチャンピオンシップ進出を決めた。

試合の趨勢を決めたのは序盤だった。京都の浜口炎ヘッドコーチが「ターンオーバー、ファーストブレイク、オフェンスリバウンドですね」とコメントしたように、栃木はストロングポイントを前面に押し出して京都を圧倒。ライアン・ロシターとジェフ・ギブスがそれぞれのパワーと高さを生かし、2本ずつのオフェンスリバウンドを奪取。そしてジュリアン・マブンガやデイヴィッド・サイモン越しにシュートを沈めるなど、インサイドを制した。

またディフェンスでは、マブンガとサイモンに対し覆いかぶさるようにして簡単にボールを入れさせず、ゴールから遠ざける。それでも強引に仕掛けてくる彼らに対し、周囲はヘルプディフェンスで寄り、シュートチェックを強めることで失点を防いだ。

そして、リバウンドを確実に保持することでセカンドチャンスを与えず、ボールをプッシュし、アウトナンバーを作っては次々と速攻から得点した。

ギブスと比江島慎の6得点を含め、5選手が4得点以上を上げるバランスの良さを見せた栃木は、ターンオーバーからの得点、セカンドチャンスポイント、速攻での得点でそれぞれ6得点を稼ぎ、26-9と圧倒した。

栃木ブレックス

フリースローで反撃を許すも、要所を締め完勝

第2クォーターに入り、京都はマブンガとサイモンの両外国籍選手をより強調し反撃に出る。フィニッシュは決まらないが、フィジカルとスピードを生かしたドライブにより、連続でファウルを誘発。開始約4分で栃木のチームファウルを5に到達させ、フリースローで加点していった。

栃木の安齋竜三ヘッドコーチも「マブンガ選手とサイモン選手がかなりアタックしてきたところで、2クォーターに12本フリースローを決められた。チームとしてもっとうまく守れると思う」と振り返ったように、栃木は13本のフリースローを与え突き離せない。

一時12点差に迫られた栃木だが、ロシターと比江島の3ポイントシュートで悪い流れを断ち切ると、笛の基準に苛立ちを隠せなかったマブンガのテクニカルファウルで得たフリースローをギブスが決め、ロシターのゴール下で第2クォーターを締めた栃木が20点差をつけて前半を終えた。

後半に入り、プレータイムをシェアしながらもディフェンスの強度が落ちない栃木は、セーフティーリードを保ちつつ時計を進めていく。

なかなか主導権を奪えない京都はフラストレーションが溜まり、第3クォーター5分過ぎ、審判への抗議によりサイモンもテクニカルファウルをコールされ、終了間際にはマブンガが4つ目のファウルを宣告された。その後は第2戦も見据え、大黒柱2人を下げ白旗を上げた。

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栃木の強さを認め「だからこの位置にいる」

勝利した安齋ヘッドコーチは「出だしからディフェンスの強度をしっかり高めて、ブレックスらしいバスケットができた」と試合を振り返った。

そして、マブンガとサイモンの両選手を抑えつつ、他のシューター陣にも仕事をさせない堅守を見せたことを評価した。「メインの2人に簡単にやられないように、簡単にボールを持たせず、プレッシャーをずっとかけ続けました。周りにシューターもいるので、シューターに3ポイントを打たせないくらいのクローズアウトをしました。どちらかに絞ってもよかったんですけど、両方抑えるチャレンジをしないと、『こっちはいいや』というディフェンスになってしまう。それをチャレンジして、しっかりできたのは収穫です」

一方、敗れた京都の浜口ヘッドコーチは、「だからこの位置(リーグ2位)にいるんだと思う」と、栃木の強さを素直に認めた。「実際、まだ8回しか負けていないです。どのチームも(オフェンスリバウンドや速攻を)注意して、同じスカウティングをしてると思うんですけど、そこは止められない部分です」

今日の勝利で、栃木はチャンピオンシップ進出が決定した。それでも、頂点を目指す安齋ヘッドコーチは「今シーズンはそこから先を目指しての戦いなので、そこを見据えて成長していきたい」と、あくまで通過点であると主張した。今日の第2戦も、栃木に慢心の2文字はない。