日本バスケットボール協会が『暴力暴言根絶』を誓い、暴力や暴言へ厳罰適用を徹底

2019/03/15
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暴力暴言根絶

文=鈴木健一郎

『バスケで日本を元気に』の理念を実現するために

日本バスケットボール協会は、暴力暴言を始めとする、すべてのハラスメントのないバスケ界を目指し「クリーンバスケット、クリーン・ザ・ゲーム ~暴力暴言根絶~ 」という新たなメッセージを掲げた。

これは、昨年末に立ち上げられたインテグリティ委員会による提案。インテグリティとは「誠実さ」、「真摯さ」、「高潔さ」。バスケ界にはびこるハラスメントの問題をなくし、『バスケで日本を元気に』の理念を実現するのが目的だ。

スポーツ界では昨年から不祥事、ハラスメント問題が次々と噴出した。指導者の問題(体罰行為)、プレーヤーの問題(暴力行為や賭博行為)、組織や役員の問題(ガバナンス問題)と問題は多く、バスケ界でも2012年に部員に自殺者を出す桜宮高校バスケ部事件が起きている。また、これまで啓蒙活動が行われてきたにもかかわらず、全国大会の舞台でもコート上での暴言はしばしば確認できたのが現実だ。

では、『暴力暴言根絶』のために、試合で具体的に何が行われるのか。レフェリー向けのガイドラインに『ゲーム中のコーチによるプレーヤーへの暴言、暴力的行為に対する対応方針』が付け加えられた。コーチの暴力的行為および暴言といった振る舞いに対しては、「リスペクト・フォー・ザ・ゲーム」の観点からテクニカルファウルとする。コーチのテクニカルファウルが2度になれば失格退場とする。このルールは以前から変更されたものではないが、『適用の徹底』が通達された。

『テクニカルファウルの対象となる振る舞い』として挙げられている具体例を引用する。

1.コーチのプレーヤーに対する暴言
 (1)人格、人権、存在を否定する言葉
  〈具体例〉 最低、クズ、きもい、邪魔、出ていけ、帰れ、死ね、てめえ、この野郎、貴様
 (2)自尊心を傷つける、能力を否定する言葉
  〈具体例〉 役立たず、下手くそ、アホ、バカ
 (3)身体的特徴をけなす言葉
  〈具体例〉 チビ、デブ
 (4)恐怖感を与える言葉
  〈具体例〉 殴るぞ、しばくぞ、ぶっとばすぞ、帰りたいの?、試合出たくないの?
2.コーチの暴力的(攻撃的・虐待的含む)振る舞い(行動・行為)
 (1)殴る・蹴るなどを連想させる行為
 (2)プレーヤーと近接(顔の目の前、腕一本分より近い距離)して高圧的威圧的に指導する行為
 (3)「おい!」「こら!」と大声でプレーヤーを高圧的、威嚇的に指導する行為
 (4)継続的、かつ、度を超えた大声でプレーヤーを指導する行為、いわゆる怒鳴りつける行為
 (5)物に当たる、投げる、床を蹴るなどの行為
3.第三者が不快と感じる振る舞い(行動・行為)
 (1)不潔な服装、裸足やスリッパでの指導

実際の試合で勝敗に大きな影響を与えるテクニカルファウルのコールは、レフェリーにとっても大きなジャッジとなるが、今回その基準があらためて明確にされた。適用は4月1日からだが、3月開催のジュニアオールスターと全国ミニバス大会は先行導入で適用される。

日本バスケットボール協会がこれだけ力を入れるのは、裏を返せばバスケ界には暴力と暴言が存在するからだ。協会としても『暴力暴言根絶』は最優先課題の一つ。この取り組みが功を奏し、バスケットボールをすることで辛い目に遭う人をなくし、『バスケで日本を元気に』が本当の意味で実現することに期待したい。