「上の世界を知ることができたので良かった」
筑波大の増田啓介は現在、U22日本代表のスプリングキャンプに参加中。A代表を目指すチームにあって貴重な経験を積んでいる。その前には特別指定選手として川崎ブレイブサンダースでプレーした。大学のトッププレーヤーにとって、Bリーグはどんな舞台だったのだろうか。
増田は昨年の関東大学リーグで優秀選手賞と得点王の2冠に輝くなど、所属する筑波大ではエースとしてチームを牽引する。だが、川崎では4試合に出場した増田は、平均12.5分間のプレータイムで0.8得点1リバウンドと、その実力のすべて見せることはできなかった。
増田も「4試合だけなのでそこまで分からないですが、評価は『ボチボチ』です」と、苦笑いする。過去にも大学のスタープレーヤーが特別指定選手としてBの舞台を経験してきたが、そもそもプレータイムが得られないなど、大学生で結果を残すことは簡単ではない。
増田もそうした難しさを分かっていたからこそ、理想と現実のギャップに戸惑うことはない。また、筑波大の吉田健司監督からは「活躍してこいという感じじゃなく、雰囲気とか、こういう世界を知ってこいという感じ」で送り出されたという。その背景があったからこそ、「活躍したい気持ちがなかったと言えば嘘になりますが、すごい先輩たちと一緒にやって上の世界を知ることができたので良かったです」と、スッキリした表情で言うことができる。
「この経験を生かして、日本一を目指します」
大学とプロの一番の違いは、やはり外国籍選手の存在だ。「大学でも留学生がいるチームはありますけど、Bリーグは基本2人います。1人と2人では全然違って、コートも狭くなってスペースがなくなります」。大学では屈強な留学生を相手にしても、増田はガツガツ身体を当てて得点を量産する。だがBリーグでは外国籍選手のレベルが飛躍的に上がり、かつオン・ザ・コート「2」のルールにより、大学でのプレーをそのまま持ち込むことができなかった。
特別指定選手としてプロの世界を体験できたことは、確実に、ラスト1年となった大学バスケ生活の糧となるはず。U22日本代表のスプリングキャンプを終えると筑波大に戻り、「日本一奪還」を見据えて新たなスタートを切ることになる。
「特別指定はこれで一回終わりなので、気持ちを切り替えます。目標はインカレで日本一を取ること。学生最後の年、この経験を生かして、できることを尽くして、日本一を目指します」