秋田の得点が止まると、富山の時間がやって来た

5月14日、有明コロシアムで行われたbjリーグ ファイナルズ。東地区決勝は富山グラウジーズvs秋田ノーザンハピネッツの対戦となった。

試合開始から両チームとも激しいディフェンスを見せ、簡単にはシュートに持ち込ませない。富山は1点も奪えないまま、田口成浩の3ポイントシュートなど難しいシュートを決められ0-7とリードされ、タイムアウトを要求。「リラックスして普段通りのプレイをしなさい」とヘッドコーチのボブ・ナッシュは選手を落ち着かせた。

一息入れて自分たちのバスケを取り戻した富山は、落ち着いたプレーを見せる。ドリュー・ヴァイニーの3ポイントシュートで11-9と逆転に成功。シュートタッチが良く、高確率でシュートを決めた秋田に15-22とリードされて第1ピリオドを終えたものの、地に足は付いていた。

秋田が次々とシュートを決めた第1ピリオドだったが、富山のディフェンスはしっかりと相手に付いていた。不十分な体勢から放つ高難易度のシュートは、ずっと入り続けるものではない。第2ピリオドに入ると秋田の得点は止まり、そして富山の時間がやって来た。

富山は8連続得点で、開始5分で36-26と10点のリードを奪う。第2ピリオドの富山は19本中12本のフィールドゴール率63%、そのうち3ポイントシュート3本と圧倒的なパフォーマンスを見せた。こうして前半を47-36で終えると、そのまま最後まで秋田に主導権を譲ることはなかった。秋田は田口がオフェンスリバウンドを拾ってセカンドショットを決めるのが精一杯。99-84で富山が勝利し、悲願のファイナル初進出を決めた。

富山はディフェンスからペースを握り、試合をひっくり返した。一方の秋田はどうだったか。常に激しいディフェンスをしていたが、両者には精度の差があった。秋田はすべてのピリオドで早い時間帯に5ファウルを犯し、思い切ったディフェンスがやりづらくなった。それでもアグレッシブな姿勢を失わずプレーしたのは称賛に値するが、結果としては1試合を通じて28本のフリースローを献上。富山はここから23得点を稼ぎ出した。

また攻撃面では、序盤に難しいシュートが立て続けに決まったことが、逆に秋田の調子を狂わせたとも言える。相手ディフェンスを崩し切らないまま放つシュートが決まらなくなった後も、強引にシュートする傾向は残り続けた。田口やレイ・ターナーが局面を打開しようと奮闘したが、チームの歯車は最後まで元のように噛み合わなかった。

ゲームハイの33得点を挙げたヴァイニー。フィールドゴール率85.7%(14本中12本、フリースロー10本中9本と驚異のパフォーマンスを見せた。

水戸「最後に制してBリーグに向けて弾みをつけたい」

ヘッドコーチのナッシュは試合後、「ディフェンスが良かった。秋田のアウトサイドシュートは素晴らしいが、28.6%に抑えられたのは大きい。最後はトランジションからプッシュしたことで点差を開くことができた」と勝因を語った。

水戸健史は、「まだ優勝したことがないので、最後に制してBリーグに向けて弾みをつけたい。今年は良いチームだし、優勝できると思っている。明日もチームディフェンスで勝利を目指す」と抱負を語った。

31点差を付けて勝利した琉球はアグレッシブなオフェンス力、対する富山はチームディフェンスで粘り強いのが特徴と言えよう。だが琉球もまた、京都戦では得点源であるタイレン・ジョンソンをローテーションしながら完全に押さえ込み、7点しか許さなかったディフェンス力は侮れない。

5月15日は、bjリーグとして本当に最後の一日となる。赤とゴールドが有明コロシアムを揺らす優勝決定戦は、17時10分にティップオフ。

決勝進出を喜ぶ富山のブースター。有明を埋めた富山と秋田のブースターが作り出す最高の雰囲気は、bjリーグの醍醐味だ。