マリーク・モンク

キングスは提示できる最大の4年7800万ドルをオファー

今オフに契約満了を迎えるマリーク・モンクは、フリーエージェントの契約交渉解禁を待たずにキングスと4年7800万ドル(約120億円)での契約延長で合意したと『ESPN』が伝えた。これは、アーリーバード権を持つキングスが提示できる最大の契約。他のチームはこれよりも良い条件を提示する可能性もあったが、モンクはそれを待つことなくキングス残留を選んだ。

モンクはキャリア7年目を終えた26歳。最初の4シーズンは彼をドラフトで指名したホーネッツで過ごし、4年目にクオリファイングオファーを提示されず、ベテラン最低保証額でレイカーズに加わった。ホーネッツでの彼の評価は不当に低かったと言わざるを得ない。そしてレイカーズでも、76試合に出場し、その半分ほどはスタメンを任されて13.8得点、3ポイントシュート成功率39.1%と上々の結果を残したのだが、レブロン・ジェームズを擁するチームがプレーオフを逃すという結果が響き、またしてもモンクは正当な評価を得られなかった。

その2022年オフ、2年1900万ドル(約29億円)の契約を彼に提示したのがキングスだった。モンクにとってキングスはオファーを出してくれただけでなく、チーム戦術の中で自分の持ち味を引き出し、しかも『勝つ』という経験をさせてくれるチームだった。1年目は48勝を挙げ、彼にとって初めてとなるプレーオフへ進出。しかし、2年目の今シーズンは46勝と2つ勝ち星を減らしただけでも、激戦の西カンファレンスで順位を3位から9位へと落とし、プレーイン・トーナメントで敗れることとなった。

シックスマンとしてセカンドユニットの攻撃を引っ張っていたモンクは3月末に膝を痛めてしまい、レギュラーシーズン最後の9試合を欠場。ここでチームは4勝5敗と失速してプレーイン・トーナメントに回り、ここで敗れた。15.4得点、5.1アシストはいずれもキャリアハイで、シックスマン賞ではナズ・リードに次ぐ2位の票を集めた。そのモンクの不在がキングスのシーズン終盤を悪い方向へと変えてしまった。

キングスの主力の大半が来シーズン以降も契約を残しており、敗退が決まった時点で人々の関心はモンクの去就に集まった。誰もがモンクの残留を願っていたが、それが簡単でないことも理解していた。

その状況にモンクは当惑していた。ペリカンズに敗れてシーズン終了が決まった日の会見で、「僕はこれまで2シーズン連続で結果を残したことがなかったし、オフに入る時点で選択肢があるのは初めてなんだ」と言い、直接的ではなくてもキングスへの愛着をこんな言葉で表現していた。

「他のチームに行けば、もっとたくさんのお金をもらえても、あまり望ましくはない状況に身を置くかもしれない。正直に言って、どうすればいいのか僕には考えられない。だからエージェントに任せるよ。何らかの決断を下す状況になったら、NBAプレーヤーとして向き合うつもりだ」

そして彼はキングス残留を決めた。ここまでの彼のストーリーを知れば、何の不思議もない決断だ。時には『お金がすべて』となるのがプロの世界だが、キングスから4年7800万ドルというリスペクトを示された時点で、モンクに他の選択肢はなかったということだ。