ニック・ファジーカス

取材=古後登志夫 文=鈴木健一郎 写真=太田勝也

前夜の延長戦に続き、両者一歩も譲らぬ激戦に

福岡市民体育館で行われたライジングゼファーフクオカと川崎ブレイブサンダースの対戦。オーバータイムにもつれる混戦となった昨夜の第1戦に続き、B1残留に燃える福岡が接戦を演じるも、終盤の勝負どころで決定力の差が出ての連敗となった。

この試合も福岡はチームに加わったばかりのマーカス・ブレイクリーがドライブで仕掛けることでズレを作り、デクスター・ピットマンのゴール下、またキックアウトからアウトサイドのシュートをお膳立て。ディフェンスでは主にニック・ファジーカスにつき、ミドルレンジまで追いかけてイージーシュートを許さず、川崎のペースを作らせない。

前日の川崎では、チームの108得点中106点が、ファジーカス(34点)、篠山竜青(26点)、バーノン・マクリン(24点)、シェーン・エドワーズ(22点)と4選手に集中してバランスが悪かったが、この試合では第2クォーターに日本人選手が違いを見せる。林翔太郎のレイアップを皮切りに、藤井祐眞と辻直人の3ポイントシュート、さらにはエドワーズのダンク2発と、得点源のファジーカスが不在の間に2桁のリードを作り出した。

地力に勝る川崎がペースを握り、46-35とリードして前半を折り返したが、福岡も後半に押し返す。個人での突破を図るブレイクリーを遥天翼が巧みにサポートしてオフェンスに流れを生み出し、ピットマンを休ませるために投入された加納誠也もその役割をきっちりと遂行。ピットマンを休ませた第3クォーターのラスト3分、ローテーションディフェンス、ポストプレーに対するダブルチームが機能して無失点で乗り切り、遥の3ポイントシュート、山下泰弘のスティールから小林大祐に繋ぐ速攻とビッグプレーが飛び出し、59-61と詰め寄り最終クォーターを迎えた。

マーカス・ブレイクリー

2試合続けてフル出場、ブレイクリーの躍進と失速

第4クォーター、バランスの良いオフェンスから藤井、マクリン、エドワーズの連続得点で再び川崎が抜け出すが、昨日に続いて不用意なターンオーバーからの失点が出てリードを保てない。オフィシャルタイムアウト明け、『東芝の先輩』山下が篠山に身体を当ててパスミスを誘い、これをカットして小林、ブレイクリーと繋ぐ魅惑のファストブレイクで福岡が69-69と追い付く。続くポゼッションでは、ディフェンスリバウンドを拾って攻め上がるブレイクリーが、ドライブを警戒して出てこない相手守備をよく見て3ポイントシュートを沈め、逆転に成功した。

それでも直後に川崎は、辻から篠山、そして大きく回り込んだ辻へとボールを繋いでの3ポイントシュートを決めて再びリードを奪う。篠山からファジーカスへのホットラインによるゴール下でのイージーシュートも生まれ、日本代表トリオが勝負どころで大きな仕事を果たした。

そして福岡にもミスが出る。延長までもつれた前日に続き、この試合もフル出場のブレイクリーに疲労が出て、ドライブのキレは落ちなかったが、最後のフィニッシュが決まらない。さらにブレイクリーは第4クォーターで3本のフリースローをすべて失敗。ブレイクリーで点が取れないと途端に苦しくなる、チームとしての課題が勝負どころで出てしまった。

篠山竜青

苦しみながらも連勝「日に日に成長できている」

残り40秒、セカンドチャンスからパスを受けたファジーカスが、シュートフェイクで飛ばした山下にわざと身体をぶつけてファウルを誘いながら、ジャンプシュートもきっちり決めるさすがのプレーを披露。このバスケット・カウントのボーナススローをきっちり決めると、ファウルゲームも危なげなく乗り切って、84-76での勝利をモノにした。

川崎にとっては、格下の福岡に予想以上に苦しめられた形となったが、結果として2試合ともに勝ちきり、これで連勝を今シーズン最長の6へと伸ばした。北卓也ヘッドコーチは「日に日に成長できている部分はある」と、チームの出来に一定の評価を与えた。

福岡にとっては手痛い連敗となったが、川崎を2試合ともに苦したパフォーマンスは間違いなく収穫であり、「試合結果は喜ばしくないが、選手たちの一人ひとり努力には喜んでいる」とヘッドコーチのボブ・ナッシュは語る。加入から間もないブレイクリーが攻撃面で核となったのはもちろん、「オフェンスリバウンドが16、トータルでウチが42で川崎が33。特にガード陣がリバウンドに絡んで頑張っていた」と指揮官は選手の健闘を称えた。

川崎との激闘を経て、B1残留に向けて明るい兆しが見えた福岡。水曜の大阪エヴェッサ戦で右肩上がりのパフォーマンスを見せられるかどうかが、非常に重要となる。