アル・ホーフォード

「継続性こそ僕たちが求めてきたもの」

2023-24シーズンのNBAチャンピオンにはセルティックスが輝いた。ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウンを筆頭に多くのメンバーがキャリア初の優勝を果たし、アル・ホーフォードはキャリア17年目にして遂に栄冠をつかんだ。

38歳のホーフォードは、NBA入りした2007-08シーズンよりホークスの中心選手として活躍した後、2016-17シーズンに優勝の切り札としてセルティックスに加入する。だがチームは2017年、18年と2年連続でレブロン・ジェームズ率いるキャバリアーズに敗戦するなど結果を残せなかった。

2018-19シーズン終了後、ホーフォードは4年最大1900万ドルの大型契約でセブンティシクサーズに移籍したが、加入2年目のシーズン途中にトレードでサンダーに放出され、若手の育成を重視していたサンダーでも終盤戦は出番を失う屈辱を味わった。キャリアのどん底にいたホーフォードに救いの手を差し伸べたのが、古巣セルティックスで、20216月にトレードで復帰を果たした。

前回の在籍時に比べると、オフェンスにからむ機会は大きく減ったが、ホーフォードは引き続き主力のビッグマンとして攻守に渡って奮闘。このプレーオフでも、負傷で途中離脱したクリスタプス・ポルジンギスの穴を埋め1試合平均で約30分プレーするなど、年齢を感じさせないハードワークが光った。

長い旅路の末につかんだ優勝について、ホーフォードは「長かったよ。大変な仕事だったけど、このチームの一員であることを誇りに思う。信じられないけど、僕たちはやり遂げたんだ」と喜びを爆発させ、「長い間、多くの戦いを繰り広げてこの位置にたどり着いた。今、優勝してインタビューに答えているのは非現実的だ」と笑顔を見せた。

また、「すべてはコミットメントだ。シーズンが始まる前から、僕たちは特別なグループで、目標を成し遂げるためにはみんなの自己犠牲が必要であることをわかっていた」とチームファーストを全員で徹底できたことを優勝の理由に挙げ、大きな貢献を果たしたドリュー・ホリデーについて語る。

「トレーニングキャンプの初日、ドリュー(ホリデー)が来てすべてを変えてくれた。彼は勝者で、正しいプレーをして勝つこと以外に関心がない。彼と一緒にプレーできて幸運だよ。自分ができることなら何でもやって、試合にインパクトを与えるために、ベストを尽くしてきた」

ホリデーだけでなく、ホーフォードも素晴らしいリーダーとして、コート内外で数字に出ない大きな貢献を果たした。ファイナルMVPのブラウンは、次のようにホーフォードへの信頼を語る。

「アルほど、今回の優勝にふさわしい人はいない。彼はコート内だけでなく、コート外でも素晴らしいリーダーだ。人生におけるメンターでもある。家族のこと、お金の管理など素晴らしいアドバイスをくれる。彼は38歳だけど、頼りすぎていたくらいだ。彼はとても安定したプレーを続け、身体をしっかりと絞って何も不満を言わない。最高のチームメイトで、彼は人生におけるレジェンドだよ」

そしてホーフォード本人も、「良い手本になろうとしていた」と、若手の指南役として、やるべきことを態度で示し、背中で引っ張ることを意識していたと明かす。

「毎日、しっかりとトレーニングをして、若い選手と競い合っていく。僕たちは最初からハードワークを続けていた。この継続性こそ僕たちが求めてきたもので、それによって優勝することができた」

ホーフォードにとって優勝を決めたファイナル第5戦は、自身がキャリアで出場したプレーオフの通算186試合目だった。この試合数は、ファイナル優勝経験のない選手におけるプレーオフ出場試合数のランキングで殿堂入りする、カール・マローンの193試合に次ぐ歴代2位の数字にあたる(ちなみに現役選手ではジェームズ・ハーデンが5位の166試合、クリス・ポールが6位の149試合)。

キャリア十分のチーム最年長が、誰よりも自己犠牲とハードワークを徹底する。ホーフォードの献身は、スタッツに出ない大きなプラス要素としてセルティックス優勝の助けになった。