クリスタプス・ポルジンギス

「間違いなく僕にとって大きな助けとなった」

第1クォーター途中からマーベリックスを突き放したセルティックスは、そのままセーフティリードを保ち続けてNBAファイナル初戦を107-89で勝利した。思わぬワンサイドゲームを演出したのはクリスタプス・ポルジンギスであり、セルティックスの指揮官ジョー・マズーラは「この展開に持っていけたのは彼のおかげだ」と語った。

そのポルジンギスは「ファンのおかげだ」と言う。プレーオフのファーストラウンドでふくらはぎの肉離れを起こした彼にとって、このNBAファイナルが約1カ月ぶりの戦線復帰だった。「この瞬間を迎えるためにできる限りの準備をしてきた」と彼は言うが、タイトルを争う厳しい戦いから距離を置いていただけに、すぐにフィットできるかどうか不安があった。

そんな彼の助けとなったのがボストンの人々からの声援だった。試合前にコートへと入った時、大歓声が彼を包んだ。セルティックスは長く在籍する選手が多いチームで、在籍1年目のポルジンギスが特別に愛されているわけではない。それでも復帰に向けて努力を重ねてきた彼の登場をファンは喜び、活躍を願った。そのポジティブなパワーが背中を押した。

「試合前にコートに入る時の声援でアドレナリンが全身を駆け巡った。間違いなく僕にとって大きな助けとなった」とポルジンギスは言う。第1クォーター終了間際にセルティックスファンの『仇敵』であるカイリー・アービングのシュートを彼が叩き落すと、その歓声は一際大きくなった。

ポルジンギスは第1クォーターだけで11得点3リバウンド2ブロックを記録。第2クォーターにも7得点を挙げ、この間にはリムプロテクターとしての存在感も発揮し、セルティックスを波に乗せた。

「ケガはしたけど、技術的には何の問題もなかった。だからメディカルスタッフの助けを借りてコンディションを取り戻し、あとは正しいことを一つずつやってここにたどり着くだけだった。出場許可が出た時点で僕は準備万端だった」

「1カ月もプレーせず、いきなりプレー強度の一番高いファイナルに挑むのは大変だ。でも、それがどれだけ大変か分かっていたからこそ、僕は今日のためにできる限りの準備をしてきた。第1クォーターにコートに入る時、チームは上手く機能していると思い、僕は不安を感じることなくスムーズに試合に入ることができて、プレーを楽しむことができた。ケガの心配をせず思うままにプレーできるのは最高の気分だよ」

まずはホームでの第1戦で会心の勝利を収められた。復帰戦のパフォーマンスも申し分なかった。ただ、まだNBAファイナルは始まったばかりだ。ポルジンギスはセルティックス18回目の、そして自身初のNBA制覇に向けて一歩ずつ進んでいくつもりだ。「この瞬間を迎えられたのは素晴らしいことだけど、まだ先がある。僕たちはただ前に進み、やるべきことをやっていくよ」