第2クォーターに一挙17得点、逆転劇の主役を演じる
金丸晃輔が第1クォーターにこの日最初の3ポイントシュートを決めた場面を見て、シーホース三河の試合を撮り続けているテレビカメラマンは『当たり』を確信したという。「回転が違った」と彼は教えてくれた。『良い時』の金丸が放つアウトサイドからのシュートはきれいな縦回転で、軌道が高い。逆に良くない時は回転が少なかったり、ボールがブレたりしているのだという。
17日のレバンガ北海道戦では金丸が33得点を挙げ、勝利の立役者になった。彼は第1クォーターに7点を挙げると、第2クォーターは何と17得点と決めまくった。金丸はこう振り返る。
「ウチは誰かに当たっている時間があるとしたら、その人にシュートを打たせる、攻めさせるスタイル。誰が当たっているかを見極めて、他の4人がそれに合わせていく。今日はたまたま僕が当たっている日だったので、みんなが合わせてくれていた」
金丸はこう続ける。「落ちるまで打ち続けようと思っていましたね。1、2本落ちただけじゃ打つのはやめないですが。でも無理して打っているわけではない。見極めが大事だと思うけれど、その辺はできた」
彼は試合後のヒーローインタビューで「タフショットばかりだったのでは?」と問われていたが、「アレは僕の中では普通のシュートです」と涼しい顔で返して場内を沸かせていた。
この時間帯にポイントガードを務めていた柏木真介はこう語る。「乗っている時は彼もボールを欲しがる。とりあえずボールを預けて、ペースが落ちたと思えば違う形で行こうと思ったけれど、第2クォーターはずっと調子が良かった」
第2クォーターの金丸は3本のフリースローを含めて10本のシュートを放ち、そのうち9本を成功させた。チームは金丸にボールを集め、彼も期待に応える。鈴木貴美一ヘッドコーチも「彼は爆発したら止まらないので、今日は見ていても楽しかったです」と口にする、驚異の10分間だった。
代表では体調不良「この場でアピールするしかなかった」
金丸は日本代表帰りだったが、10日と11日のイラン戦は風邪の影響もあって出場時間を合わせて5分ほどしか得られていない。ただ風邪によって休めたことが、翌週の好コンディションにつながったようだ。鈴木ヘッドコーチはこう振り返る。「金丸選手は疲れが取れたなという感じだった。ただしゲームをやっていないですから、回復後の練習はちょっと多めにやって、汗をかかせました」
もちろん日本代表で活躍できなかったことは誰にとっても残念な話だ。金丸はこう明かす。「代表では何もアピールできなかったので、この場でアピールするしかなかった。それもやる気の一つにはなりましたね」。結果として翌週の北海道戦に向けて、彼は心身ともに良い準備ができていた。
金丸は前半だけで24点を挙げると、第3クォーターも早々にシュートを2本成功させる。自己最高の35点、B1記録の41点も超えるのではないか? というハイペースでポイントを重ねた。その後は点差も開き、彼自身も第1クォーターから出ずっぱりだったためベンチで休む時間が増え、33点で打ち止めに。ともあれ金丸がシューターの本領を発揮した『大爆発』の1日だった。
金丸はB1の得点ランキング8位(17日終了時点)で日本人トップ。相手チームも当然ながら彼を警戒している。それぞれのシュート場面を振り返ればオープンな状況はほとんどなかった。
北海道の水野宏太ヘッドコーチは「一番ディフェンスできる桜井(良太)が付く状況を作りたかったけれど、ファウルが溜まってしまって、第2クォーターに金丸選手を勢いづかせないようにすることができなかった」とチームにとっての計算違いを述べつつ、金丸をこう称える。
「タフなシュートを打たせる状況に持っていった中で、金丸選手の決定力の高さもあった。全部が全部好き放題やられたというよりは、『ここで決めてくるんだ』というようなシュートをしっかり決めている。彼のすごさが今日は出ていた」
相手チームにとってはタフなシュートを打たせているつもりなのに、本人は『タフ』と感じていない。それこそは金丸が日本人最高のシューターたる所以なのだろう。
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