日本代表の大黒柱ニック・ファジーカス、次は母校ネバダ大の英雄として式典へ出発

2019/02/27
日本代表
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ニック・ファジーカス

文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、FIBA.com

「今はすべてがうまくいってホッとしている」

バスケットボール日本代表はワールドカップ予選において、悪夢の開幕4連敗から破竹の8連勝を収め、自力では1998年以来となる本大会への切符をつかんだ。この見事なV字回復の立役者は間違いなくニック・ファジーカスだ。Windows6のイラン戦、カタール戦においても26得点8リバウンド、20得点19リバウンドと相変わらずの高値安定のパフォーマンスで代表を牽引した。

最終的にこの予選、ファジーカスは6試合出場で平均31分出場、27.2得点、12.5リバウンドと文句なしの成績。もちろんこの6試合すべてで日本は勝利を収めている。まさに救世主と評するに相応しいインパクトを残したファジーカスは、帰国後の取材で「今はすべてがうまくいってホッとしている」と安堵の表情を見せた。

実質的にはワールドカップ出場の決め手となったイラン戦だが、日本にとって予想外だったのはNBA経験も豊富なベテランのビッグマン、ハメド・ハダディがメンバー入りしなかったことだ。

「ハダディがいないのは良かったと思う」とファジーカスは語る。「彼と対戦したことはないけど、サイズがあり力を持った選手であることは分かっていた。ただ、彼が出場した時のゲームプランはしっかりと準備していた。それにハダディ不在でも23ものオフェンスリバウンドを取られてしまった。彼はイランのベストプレーヤーの一人であり、その選手がいなかったことで僕たちにより自信をもたらしたと思う」

ファジーカスも言及したように、イラン戦はオフェンスリバウンドで3-23と圧倒的な差をつけられた。それでも「この点についてはそんなに気にならなかった」と、良くも悪くも想定内の事態だったと続ける。「イランがリバウンドに強いのは分かっていた。リバウンドを取られても、そこからすぐにシュートを打たれることは少なかった。だから、ポジションを取り直して守ることに集中するだけだった。そして僕たちの強みであるトランジションは出せていたので、フラストレーションを溜めることはなかった」

ニック・ファジーカス

渡邊雄太、八村塁との揃い踏みを「楽しみにしている」

次はいよいよ念願の本大会となる。これまでの実績から言えば、日本の予選グループ突破は厳しいとの下馬評になるだろう。しかし、かつて崖っぷちで迎えたオーストラリア戦を前にして「信じてほしい。彼らは僕のいる日本代表を破ってはいない」と語ったファジーカスは、『世界』を舞台にしても勝つ気満々でいる。

「予選グループで戦う相手全てが、アメリカやスペインといった難敵になることはない。トップレベルではないチームとも一緒になるだろう。僕たちが勝てないと決まったわけじゃない」

そして、ワールドカップでは予選では実現しなかった渡邊雄太、八村塁との揃い踏みが実現するかもしれない。「NBAでプレーしている、プレーしていた経験のある選手を3人揃えるチームは、そんなに多くない。3人で一緒にプレーできることを楽しみにしている」

ニック・ファジーカス

母校ネバダ大の永久欠番セレモニーに参加

代表選手たちは今、それぞれのチームに戻ってBリーグ再開に向けての調整に入っているが、ファジーカスは日本時間28日に開催される母校ネバダ大での永久欠番セレモニーに参加するためアメリカにいる。言うまでもなく永久欠番は大学において本当に傑出した功績を残した人物にしか与えられない栄誉で、一世一代の晴れ舞台だ。

サンロッカーズ渋谷戦の前日となる3月1日に帰国する強行日程となるが、「ネバダ行きは慌ただしい旅になるけど、これは本当に参加したいイベントでチームが許可をくれた。ネバダにも僕の日本での成功の情報は伝わっているし、楽しみだ。ワールドカップ出場を決めてセレモニーに参加できるのは最高だよ」とファジーカスは川崎への感謝を胸に母校へと凱旋した。

永久欠番の知らせが来たのは数週間前で、いくつか選択肢があった。「来週にすることもできたけど、そうなると福岡戦は欠場になる。だから今週を選んだ」と、リーグ戦を絶対に休みたくない川崎への忠誠心の高さからの決断であることも強調したい。

ちなみにネバダ大は昨シーズンの全米選手権でベスト16に進出。その主力が多く残った今シーズンは序盤から順調に勝ち星を重ね、ファイナル4進出を十分に狙えるチームとなっている。かつてない盛り上がりを見せる中で、ファジーカスが記念すべき永久欠番のセレモニーを行うことは、日本のバスケットボールファンにとっても見逃せない光景だ。