ニキール・アレクサンダー・ウォーカー

「自分たちのプレーに集中することで解決しなければ」

ナゲッツはティンバーウルブズとのセカンドラウンドで、いきなり2つの完敗を喫した。初戦は終盤までもつれた末の敗戦だったが、第2戦は第2クォーターを15-33と圧倒され、前半だけで大量ビハインドを背負って早々に勝敗が決する屈辱的な大敗だった。

しかも、この第2戦ではウルブズの守備の要であるルディ・ゴベアが息子の誕生に立ち会うために欠場していた。ウルブズにとっては明らかに不利だったが、マイク・コンリーはそれが逆にプラスになったと語る。「全員に良い意味でのプレッシャーが掛かった。ルディがいないと勝つ努力を投げ出してしまう男にはなりたくないからね。だからコートに入る時点で全員のメンタルが仕上がっていた。あんなにハードでアグレッシブで、全員が一つになって戦えたのは久しぶりだ」

一方でナゲッツはホームで連敗を喫し、追い込まれている。ヨキッチは16得点16リバウンド8アシストとスタッツは残したが、気分良くプレーできたとは言い難い。初戦での7に続いて4ターンオーバー。ウルブズの守備は彼の得点は許容しても、彼のプレーメークからジャマール・マレーやマイケル・ポーターJr.にワイドオープンを与えることがないよう徹底的にケアしている。アンソニー・エドワーズ、ジェイデン・マクダニエルズ、ニキール・アレクサンダー・ウォーカーは『狼』となってマレーとポーターJr.に襲いかかった。

試合の趨勢がまだ定まっていなかった前半、マレーはフィールドゴール10本中1本成功の2得点に抑え込まれた。コートを幅広く動き回っても常にディフェンスが張り付き、フィジカルに身体を当てて削ってくる。マレーはレイカーズとのファーストラウンドではふくらはぎの痛みを抱えながらもクラッチシュートを決め続けたが、しつこく絡み続ける『狼』のディフェンスに大苦戦を強いられた。

しかも、ジャッジは彼に味方しなかった。必要以上に削ってくるシーンもあったがファウルの判定はなく、マレーのフラストレーションが溜まるのに対して『狼』は自分たちのハードワークの効き目を確認し、その強度をさらに上げていった。結果、マレーは8得点、ポーターJr.は9得点。ベンチメンバーの層が薄いナゲッツにとって、得点源2人が揃って不発だと挽回は難しい。チームとしてもフィールドゴール成功率34.9%、得点わずか80と抑えられた。

そしてマレーは、試合中にフラストレーションを悪い形で爆発させている。ベンチからタオルを、そして筋肉のケアに使うヒートパッドをコートに投げ入れた。審判の目線がコートに向いていたために見逃されたが、映像を確認したウルブズの指揮官クリス・フィンチは「許しがたい危険な行為」とマレーを非難している。

ただ、マレーには10万ドル(約1500万円)の罰金が科された。この処分を予想していたかを質問されたマレーは「そうだね。自分のやったことには責任を負う。だけどもう次に進みたい」と言葉少なだった。「ああいう試合展開は当然予想していないといけない。そこでイライラするんじゃなく、落ち着いて自分たちのプレーに集中することで解決しなければ。いずれにしても、僕たちは這い上がるしかない」

ナゲッツを率いるマイケル・マローンは「ジャマールのあんな様子は見たことがない」と語る。「チャージを受けているのにファウルを取ってもらえず、本来決めて当然のシュートが決まらず、カンファレンスファイナルに進むために勝たなければいけない相手に30点ビハインド。そのすべてを沸騰した鍋にぶち込めば、処理するのが大変なのは分かるだろう。それでも彼には処理してもらわなきゃならない」

両チームともにファーストラウンドを早々に突破し、他のカードよりも先行してシリーズが始まったために、デンバーからミネソタへの移動を挟む第3戦までに中2日の余裕があるのはナゲッツにとっては幸いだろう。『狼』の奇襲に出鼻をくじかれたが、ここで立ち直って本領発揮といくだろうか。