残り3年で約250億円、サンズに大きな負担となるビールの年俸

サンズはプレーオフファーストラウンドでティンバーウルブズに4連敗。痛恨のスイープ負けであっけなく散った。シーズン開幕前、サンズは大きな代償を支払ってウィザーズからブラッドリー・ビールを獲得。ケビン・デュラント、デビン・ブッカー、ビールのビッグ3を中心に悲願のNBA初制覇を目指したが、結果は無惨なものとなった。

サンズは2021年にモンティ・ウィリアムズヘッドコーチの下でファイナル出場を果たしたが、首脳陣はこのメンバーで頂点に立てないと判断し、昨シーズン途中にケビン・デュラントを獲得するなどロスターを大幅に刷新。ウィリアムズに加えクリス・ポール、ミケル・ブリッジズ、ディアンドレ・エイトン、ジェイ・クラウダーらはチームを去り、2021年ファイナル時から残る主力はブッカーのみとなったが、その結果が今回の大敗という厳しい現実に直面している。

この惨敗の最大の要因は、デュラント、ブッカー、ビールのビッグ3が機能しなかったこと。シーズン中、誰かしらが欠場し、3人揃ってプレーできたのは41試合のみ。この間は26勝15敗と好成績だったが、連携を欠いたプレーはティンバーウルブズに全く通用しなかった。『ESPN Stats』によると、今回のシリーズでビッグ3が揃ってコートに立っていた時間帯の得失点差は、合計で-51という残酷なスタッツが出ている。

この敗退を受け、ビッグ3は解体すべきという声が多く挙がっている。しかし、ビールはそう考えていない。「僕たちはこの布陣を1年だけのモノと見ていない。短い間だけど、僕たちにはまだ時間がある。この機会を最大限に生かしていきたい。間違いなく僕たちは成長の余地がたくさんあって、チーム全員が良くなっていかなくてはいけない。簡単なことではないけど、組織としてより良くなり、タイトル獲得に向けて前進していかないといけない」

もし、ビッグ3を解体するとなったら真っ先に放出候補に挙がるのは、ビールだろう。毎年のことだが、今シーズンも故障に苦しみレギュラーシーズンは53試合出場に留まり、チームにうまくフィットするのに十分なステップを踏めなかった。そして、今回のファーストラウンドでは4試合で平均16.5得点、4.5アシストと平凡な数字に終わっている。

ただ、今のサンズで最も放出するのが難しいのはビールである。彼の契約は最終年のプレーヤーオプションを含めると残り3年で総額1億6,000万ドル（約250億円）となる。ここ数年の彼のパフォーマンスを考えると、かなり割高であることは間違いない。もちろんサンズは、このリスクを承知した上でビール獲得に踏み切ったはずだが、結果は考えうる中でも最悪クラスの失敗となった。現実的にはビッグ3を維持して新シーズンを迎えざるを得ないのが実情だろう。そしてビールにとっては、地に落ちた評価をひっくり返すことができるラストチャンスとなるはずだ。