富樫勇樹

A東京に序盤から2桁リードを許して敗戦「今日の試合に関しては完敗でした」

4月17日、千葉ジェッツはアウェーでアルバルク東京との強豪対決に67-78で敗れた。チャンピオンシップ(CS)のワイルドカード1位の座をキープしているものの、CS圏外となる3位以下とのゲーム差はわずかと予断を許さない状況が続いている。

試合後、ジョン・パトリックヘッドコーチが「今日は第1クォーターで戦う準備ができていなかった」と振り返ったように、千葉Jは立ち上がりからA東京の高さ、フィジカルを生かしたバスケットボールに攻守で圧倒された。

中でも「プレーオフに行きたければ、もっと最初から頑張らないといけない。特にインサイドでこんなに圧倒されるのは言い訳できないです」と指揮官が言及したように、A東京のセバスチャン・サイズに30得点7リバウンド、ライアン・ロシターに16得点17リバウンドと、ゴール下を制圧されてしまう。その結果、第1クォーターで13-25といきなり出遅れた。第2クォーター以降もテンポをコントロールし、インサイドを強調したA東京のハーフコートゲームに主導権を握られ続け、自分たちの得意とする走る展開に持ち込めなかった。その結果、第4クォータ―を前に19点の大量ビハインドを背負っての完敗となった。

千葉Jの絶対的エース、富樫勇樹は次のように試合を振り返る。「自分たちがディフェンスで準備したことが全くできなかったです。1本目に3ポイントシュートを打たれたところから、準備してきたものではなかったです。そこから崩れて、前半ずっと続いていました。オフェンスは悪いシュートではないところで落ちてしまったところもあり、焦りが出てうまくいかなった部分も多かったです。今日の試合に関しては完敗でした」

富樫個人で言うと、35分30秒のフル稼働で8アシストと味方のシュートチャンスを作り出したが、チームオフェンスがうまく行かないことでタフショットを打たざるを得ない場面も多く、フィールドゴール13本中3本成功の12得点に留まった。

パトリックヘッドコーチは「今日はみんな、ボールを勇樹に渡して消えてしまいました。空いているのに勇樹を探している。勇樹は間違いなくチームの顔ですが、周りのオフ・ザ・ボールの動きが少なすぎました」と、富樫頼みになりすぎてしまっていたと悔いた。

富樫勇樹

「勝たなければいけない、ずっと勝ってきたチームのプライドは持っています」

この点について富樫本人に尋ねると、チームとしてやるべきことができなかったと語る。「流れの中で、普段やらないことをやってほしいわけではないです。自分たちの流れに乗ってプレーできればいいですが、今日はさせてもらえなかったゲームでした」

現在、千葉Jは33勝21敗でワイルドカード1位に立っているが、2位の島根スサノマジックとは1.5ゲーム差、3位の広島ドラゴンフライズとは2ゲーム差とこれまでの貯金が底をつきつつある。天皇杯優勝が示すように、リーグ制覇しても驚くべきではない実力を十分に備えている千葉Jだが、CS出場を逃す危険性もあり得る状況だ。

コロナ禍によるシーズン中断を除くと、千葉JはBリーグ初年度からずっとCSに出場しているリーグ随一の強豪だ。今シーズンも前半戦は苦しんだが、後半戦から徐々に調子を上げて東アジアスーパーリーグ、天皇杯とすでに2冠を獲得。3月途中からビッグマンに故障が続いた大きなマイナスはあったにせよ、現状に驚きを感じるBリーグファンは少なくない。

それでも富樫は「今年は今年で僕はすごく楽しいです」と語る。そこには「勝たなければいけない、ずっと勝ってきたチームのプライドは持っています」との矜持がある一方、シーズン最初から自分たちは挑戦者というブレない考えがあるからだ。

「メンバーの入れ替えもあってスタートが悪かったです。CSは難しいと思った方も多かった中で今はワイルドカード1位にいます。天皇杯、EASLで優勝できましたし、シーズン初めの頃を思い出せばすごく良い状態です。だから、今シーズンはいつも以上にチャレンジャーの気持ちでCS出場に向けて臨めています」

天皇杯での歴史的な圧勝が示すように、千葉Jの爆発力はリーグ最高クラスだ。どんな形でもCSに出場できれば、ダークホースとして大きな注目を集めるのは間違いない。だからこそ「今日が自分たちの本来の実力かと言ったら、そうではないです。この結果をどうとらえ、ここからどう学んでいくのか」と富樫が強調するように、この敗戦を糧とできるかどうかが、千葉Jの今シーズンにおける大きな分かれ道となってくる。