苦難連続のシーズン「投げ出す理由はたくさんあった」
ウォリアーズは2つ勝つ必要があったプレーイン・トーナメントの初戦でキングスに敗れ、プレーオフに進むことなく2023-24シーズンを終えた。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン。『王朝』を築いた選手たちが大ベテランの年齢となり、残された時間を考えると無駄にできないシーズンではあったが、最後まで苦戦が目立ち、最後は若いキングスに94-118と大敗することとなった。
クレイはフィールドゴール10本を放ってすべて外し、32分で無得点というキャリア最悪の夜を過ごした。それを抜きにしても94得点はシーズン最少だし、カリーも大一番で22得点と平均以下の出来に終わっている。
敗退の瞬間からSNSでは『ウォリアーズ、解体へ』という言葉が飛び交い、1時間もしないうちに様々なメディアがこれに追随した。それでも指揮官スティーブ・カーは「クレイには残ってほしい」と断言した。「今日の彼は苦しんだが、ウチには彼がもたらすスペーシングとオフェンスの流れが必要なんだ。彼はまだ活躍できるはずだ」
グリーンも「クレイには戻って来てほしい。僕らはあらゆる困難を一緒に乗り越えてきたんだから」と言う。「フロントはチームにとって最善の決断を下すだろうし、彼も決断を迫られている。でも、僕が思うにクレイが去るシナリオはない。クラブにとっても彼にとっても残留が最善の決断だと思う」
そして『スプラッシュ・ブラザーズ』の相棒であるカリーも気持ちは同じだった。クレイとグリーンについて、「あの2人抜きの自分は想像できない」とカリーは語る。「このリーグは変化の連続で、僕らだって永遠にプレーできるわけじゃない。でも僕らは一緒に多くのことを経験してきた」
「クレイの出来と今日の敗戦を結び付けようとするのは分かる。でも僕らが82試合を戦い抜く中で、彼は新しい役割をこなすことでチームの状況を好転させ、長くベンチからプレーした後に先発に戻ってプレーする楽しみを取り戻した。僕たちは上手くやってきたという事実がある」
「僕はクレイが今でも正しい方法で試合に臨んでいるのを見ている。それは上手くいかず、彼が期待しているようなプレーができずに数字も残せなかったけど、スポーツは予測不可能なもので、そういうこともあるんだ。僕たちは誰もが驚くような最高の瞬間を経験してきた。それをずっと続けるのは大変だし、良い時があれば悪い時もあることを受け入れなきゃならない。クレイはそのお手本のような選手だ。シーズンの終わり方としては最悪に近いけど、彼はきっとより強くなって戻って来るよ」
そしてカリーは、自分自身についても言及した。「同情してもらうつもりはない、責任は背負うつもりだ。僕は自分にできる限りの努力をして、自分の望むレベルのプレーを見せようとしてきた。他の誰かの言葉は気にしないし、これからもそうする。やっぱり僕はバスケができることに感謝しているし、今もまだバスケをプレーするのが楽しい。そしてまた勝ちたいと思っている。それを実現するために最善の状況にいたい、それが僕の期待していることだ」
「今シーズンは感情面でジェットコースターみたいに激しかった。夏のミニキャンプからトレーニングキャンプ、82試合を戦って、誰かが離脱したり、家族の一員を失ったり、シーズンの後半になって関係性をどう保つか模索したりと多くの出来事があったけど、僕らはいつも正しい方向にエネルギーを向け、お互いを信頼して進んできた。それは難しいことだから、誇りに思っている。投げ出す理由はたくさんあった。もっと早く投げ出すこともできただろうね。でも、僕らは良い形でレギュラーシーズンを終えた。ただここで結果が出なかっただけなんだ」
ウォリアーズに引導を渡したキングスの指揮官はマイク・ブラウンで、彼は『王朝』前期をアシスタントコーチとして支えていた人物だ。ヘッドコーチとして独り立ちした彼は同じカンファレンス、同じディビジョン、本拠地が100kmほどしか離れていない『隣のチーム』であるキングスを指揮してウォリアーズに挑み続け、ついに勝った。
試合後の会見でウォリアーズ王朝の終焉についてコメントを求められたブラウンは「殿堂入りの選手が3人もいるんだ。私の意見では、ウォリアーズはまだ戦えると思う」と語った。「それは私が考えることではない。私はもうペリカンズ戦の準備に意識を向けているんだ。ただ、あの3人は特別な選手だということは言っておきたい」