比江島慎

構成=丸山素行 写真=小永吉陽子

イラン戦は「オフェンス面ではベストゲームだった」

イランを97-89で破った日本代表は、ワールドカップ予選最後の試合となる明日のカタール戦に臨むため、テヘランからドーハへと移動した。

比江島慎は「暖かいですし、空気もきれい。ホテルのご飯もおいしかったです。(イラン戦は)体育館がすごいすべっていたので、楽に戦えるんじゃないかと。少し疲れは感じますけど、次の試合に影響するほどではない」と、心身ともにリフレッシュした状態で決戦を迎える。

比江島はエースの気概をいつも以上に持ち、イラン戦に臨んでいた。その結果、24得点でオフェンスを牽引し、勝利の立役者となった。比江島自身も「自分の役割はしっかり果たせたかなと思います」と胸を張った。

「出だしのところでチームを勢いづけるプレーもできたし、最後の勝負どころでも決められた。オフェンス面ではベストゲームだったと思います」

試合序盤の7連続得点で試合の主導権を握り、6点差に迫られた残り40秒には勝利を決定付けるミドルシュートを沈めた。比江島自身はベストパフォーマンスだったが、「やっぱりディフェンスのところだったり、オフェンスリバウンドを取られてしまった」と、警戒しながらも23ものオフェンスリバウンドを取られ、ハイスコアリングゲームになった点は反省する。

比江島慎

「次のカタールのことしか考えていない」

それでもワールドカップ出場に向け貴重な1勝を挙げており、全体としては間違いなくポジティブだ。比江島は「自信を持ってプレーした、イラン相手にみんなが立ち向かっていったことは良かった」とチーム一丸の勝利を強調し、アウェーの地で強い気持ちを持って戦ったことを誇りに感じている。

この予選の序盤、日本代表はメンタル面の弱さから終盤に失速する試合が続いていた。だが現在のチームにそうした弱々しい印象はない。「これだけ勝ってきたのもありますし、(フリオ)ラマスがそういった自信を与えてくれてるというのもあります。それはニック(ファジーカス)だったり、(八村)塁だったり(渡邊)雄太が持ってきてくれたものでもある」と比江島は言う。

ファジーカスはイラン戦でも日本代表の攻守に安定をもたらし、八村と渡邊の存在は自信を与えてきた。戦う集団として成長したAKATSUKI FIVEには、明日のカタール戦でその集大成を発揮し、ワールドカップ出場をつかみとってもらいたい。「次のカタールのことしか考えていない。昨日の試合は自分の中では終わっていることなので、切り替えられている」と語る比江島にも、もちろんイラン戦に続いての『エースの働き』を期待したい。