先発5人で勝負のレイカーズ、ペリカンズはベンチに強み
シーズン最終戦で勝利したレイカーズは、プレーイン・トーナメントで1勝すればプレーオフへと進める8位に滑り込みました。一方で敗れたペリカンズはサンズと勝率で並び、直接対決の結果によって7位でプレーイン・トーナメントに回ることになりました。その両チームが第7シードの座を懸けて対戦することになります。
シーズン終盤を11勝3敗と大きく勝ち越したレイカーズは、この間のフィールドゴール成功率が50%を超え、平均122得点とオフェンスが好調です。スターター全員のプレータイムが30分を超え、5人で103.7得点とプレーオフさながらのローテーションにしてきたのが好調の要因でもありました。アンソニー・デイビスがキャリアハイを1試合更新する76試合に出場するほど健康を維持し、同じメンバーで戦えたことで連携が向上しています。
シーズン前半はディフェンス力を重視し、ディアンジェロ・ラッセルやオースティン・リーブスをベンチスタートにもしていましたが、2月頃から現在の構成に落ち着き、オフェンス力で勝ち切るスタイルになってきました。また、レイカーズはフリースローを多くもらうチームですが、面白いことに2月以降はフリースローでの得点が減って、得点力が向上しています。レフェリーのコールに左右されない得点を多くしたことで勝率が上がったと言えます。
レイカーズとは対照的に、ペリカンズはリーグ6位のレーティングを誇るディフェンスのチームです。ハーブ・ジョーンズ、トレイ・マーフィー三世、ナジ・マーシャルなどハードワークするウイングを多く揃えているのが強みですが、実はCJ・マッカラム、ブランドン・イングラム、ザイオン・ウイリアムソンの3枚看板が同時にコートに立つとディフェンス力が落ち、特徴を出し切れません。
オフェンス面ではスペーシングとポジショニングが徹底されるようになり、ザイオンから的確なパスが両サイドへと出てくるようになりました。ザイオンは強引な突破を減らしたことでケガのリスクを抑え、キャリア最高となる70試合に出場しています。イングラムのミドルシュートにマッカラムの3ポイントシュートと、3人のエースが異なる武器を使って攻略できるのもペリカンズの強みです。
スターター5人でオフェンス勝負のレイカーズと、主力とベンチを上手く混ぜてディフェンス勝負のペリカンズという対照的な起用法が求められますが、それはレイカーズの方がシンプルな起用法で戦えることも意味します。一戦必勝のプレーインだけに主力を長く起用したくなりますが、それではチームの特長が出にくいペリカンズにとっては采配は難しいものになりそうです。
レギュラーシーズン最終戦、レイカーズはドライブコースを手厚く守り、パスを出させることを狙ったことで、ザイオンに8アシストを許したものの得点は12に抑え込みました。逆にレブロン・ジェームズは第1クォーターはパス優先で無得点ながら8アシストを記録、第2クォーターになると積極的に点を取りに行って13得点5アシストと、ペリカンズディフェンスを手玉に取りました。強引な突破ではザイオンに分がありますが、判断力の面ではレブロンに大きなアドバンテージがあります。
八村塁もエンドラインを動いてディフェンスの死角を突き、合わせのプレーを連発しており、攻略方法は理解したでしょう。強引さよりも冷静な状況判断で空いたスペースを突くことが勝利への近道になってきます。