ジョンタイ・ポーター

「もはやベッティングはNBAの一部、これが現実だ」

ラプターズは今のNBAで他のどのチームよりも長い11連敗中と不振に喘いでいる。オールスターブレイク明けから3連勝でプレーオフ進出の望みが出てきたはずが、その後の14試合で1勝しか挙げられず、現在は11連敗。3月の始めにエースのスコッティ・バーンズが左手の中指を骨折し、その直後にヤコブ・パートルも左手の腱を、クリス・ブーシェイは右膝を手術することになり戦線離脱。最近ではRJ・バレットが身内の不幸で、イマニュエル・クイックリーも個人的な理由で欠場となっている。

2月のトレードデッドラインで多くの選手が動き、新しいメンバーでプレーする期間が十分に取れないまま、主力が続々とケガで脱落する羽目なり、チームとしての戦い方が成熟しないままラプターズは負け続けている。

さらに現地3月25日にはギャンブルにまつわるトラブルも起きた。2ウェイプレーヤーのジョンタイ・ポーターが、ギャンブルに絡んで不正をしている疑いでリーグの調査を受けていると『ESPN』がスクープしたのだ。『ESPN』によれば、現地1月26日のクリッパーズ戦と3月20日のキングス戦の2試合で、ポーターは途中出場するもケガを理由に数分しかプレーしなかった。この2試合いずれも、ポーターの個人スタッツに対するオンラインベッティングで『通常では考えられない賭け金の動き』があったという。

そういった異常な掛け金の動きをチェックする担当者が気付いたことを機に、リーグが調査に乗り出した。『The Canadian Press』の問い合わせに対してNBAは「調査中」とのみ回答し、ラプターズはノーコメントだった。トロントのあるオンタリオ州ではオンラインベッティングは合法だが、NBAは選手や従業員がNBAを対象とした賭けを行うことを禁止している。

この日のラプターズは、こちらも6連敗と低迷するネッツと対戦して88-96で敗れた。ヘッドコーチのダーコ・ラジャコビッチは、試合後の会見で真っ先にポーターのことを問われることになったが、「私も皆さんと同じように今日知ったことで、全く予期していなかった」と当惑した表情を見せた。「ポーターに限らず、選手のケガを疑ったことはない。私自身もこのような状況は初めて経験する。選手たちがどう感じているのかも現時点では分からない。ただ、避けたかった状況であるのは確かだ」

つい先日、キャバリアーズの指揮官J.B.ビッカースタッフは、オンラインベッティングにNBAが毒されていると告発している。彼によれば、試合終盤にチームの勝敗とは別に、彼らが賭けているベッティングを巡って『クレイジーな言葉』が投げかけられることが日常茶飯事になっているそうだ。キャブズのファンはキャブズの勝ちを願うものだが、『キャブズの10点差勝ち』に賭けている者は同じ試合を全く違う視点で見る。だから10点リードの残り1分でビッカースタッフが主力を下げようとした時に「下げるな!」と声を張り上げる。そうしたギャンブルのファンの行動はエスカレートしており、「彼らは私の携帯電話の番号を手に入れて、クレイジーなメッセージを送ってくる」とビッカースタッフは明かす。

ラジャコビッチがそうであったように、ラプターズの選手たちもどうコメントしたらいいのか分からなかったようだが、ジョーダン・ウォーラは『TORONTO SUN』の取材にこう答えている。「ギャンブルをやっている人からのメッセージはたくさん送られてくる。試合中もコートサイドからノンストップでそんな言葉が聞こえてくる。もはやベッティングはNBAの一部、これが現実だ」