
ラメロ・ボールの『引力』抜きでチームの核となる挑戦
2025-26シーズンで最も多くの3ポイントシュートを決めたのは、ホーネッツのコン・クヌッペルでした。コーナーから50%の超高確率で、ステップバックでさえも48%とルーキーとは思えぬシュート精度を誇るだけでなく、フリーになるための動きはベテランでも簡単には真似できないハイレベルなものでした。
そんな彼でも、ディフェンダーにプレッシャーを掛けられた中でのタフショットは29%まで確率を落としており、いかに相手を振り切ってシュートに持ち込むかが問われます。一般的にはオフボールスクリーンを使って長い距離を走る動きが多用されますが、クヌッペルはディフェンスのマッチアップミスを生み出す動きが目立ちます。
シューターをスクリーナーとして使うオフェンスパターンをクヌッペルほど見事に使いこなす選手はいません。その中でも得意なのがスクリーンの形をセットしながら、実際には当たらずにすり抜ける『ゴースト』で、何度も同じ形を繰り返すにもかかわらず、相手は騙されてしまいます。
自分にマッチアップしているディフェンダーをブロックしながら、ボールを持つハンドラーへと近付き、両足をしっかりと止めてスクリーンの形に入るのですが、当たる直前でヒラリと方向転換します。マッチアップするディフェンダーはスクリーンだと誤認するだけでなく、動きながらのスクリーンのため早めにショウやスイッチへと動かなければならず、反応した瞬間にクヌッペルはフリーになります。
ゴーストスクリーンはディフェンスの連動が悪い時に使うのが通常ですが、クヌッペルは一連の動きの上手さで連動ミスを引き出します。他にもフロントコートに入った瞬間に意図的にディフェンダーの間を抜けてピックアップを混乱させたり、通常のピック&ロールの間に割り込むようなオフボールムーブでスイッチを混乱させていきます。
このように、クヌッペルが特別なシューターなのはシュートがただ上手いのではなく、フリーになるためのオフボールでの動きに優れているからです。だからこそホーネッツはラメロ・ボール中心のバスケに見切りを付け、ブランドン・ミラーとクヌッペル中心のチーム作りへ移行する決断をしました。2年目の新シーズンは彼のアテンプトが増え、それに応じて得点も伸びると期待されますが、一方でラメロがいなくなる不安もあります。
クヌッペルのゴーストは見事ですが、それは自らリムにアタックできるラメロがディフェンスの警戒を引き付けることで生まれるフリーであり、同時にタイミング良くパスを供給してくれるラメロがいるからこそ見事な連係プレーとして成り立っていました。ラメロ以外のポイントガードとプレーする時は、ドライブとパスのバランスが噛み合わないことで仕掛けのタイミングがズレてしまいがちでした。
クヌッペルは273本の3ポイントシュートを決めましたが、そのうちアシストが付かなかったのは21本だけ。パサーとの連携は極めて重要です。逆にラメロは272本の成功のうち、アシストなしが103本とハンドラーとしてディフェンスを引き付ける役割もこなしていました。ラメロがいなくなってもゴーストスクリーンからのシュートを『得意な形』として継続させられるのか、そしてクヌッペル自身がハンドラーとしてのアテンプトを増やしていけるのか、これらの要素がクヌッペルの2年目のシーズンを左右しそうです。