「昨日の負けからやり返すことができて、とても大きな勝利です」
千葉ジェッツは3月24日、アウェーに乗り込んでアルバルク東京と対戦。ロースコアの息詰まる展開となる中、最後までディフェンスの集中力が切れず、オフェンスではわずか5ターンオーバーと、攻守ともに堅実なプレーを貫いた千葉Jが70-69で競り勝った。
千葉Jは試合の立ち上がりから、サイズの優位を生かしたA東京のインサイドアタックに素早い寄せで対応し、守備からリズムをつかむ。そして持ち味のアップテンポな展開からセイビア・クックスのドライブなどで確率良くシュートを決め20-13と先行する。第2クォーターに入っても、ルーキーの内尾聡理のエナジー全開のディフェンスなどで、主導権を握り続け残り6分半にはリードを13点にまで広げる。だが、ここからA東京の堅守にリズムを崩され、オフェンスが完全に停滞してしまう。その結果、第2クォーターではわずか8得点に終わり、28-29と逆転されてハーフタイムを迎える。
後半も一進一退の攻防が続き、千葉Jは試合残り3分半で3点ビハインドと苦しい状況に。だが、A東京のゴール下へのアタックを身体を張ったディフェンスで止め続けると、トランジションからの連続得点で逆転に成功し、残り17秒で3点をリードした。さらに富樫勇樹がファウルゲームによってフリースローを獲得し、勝利をほぼ確実なものとする。
しかし、ここで富樫がフリースローを2本連続で失敗してしまう。会場が騒然となったが、直後のポゼッションでも高い集中力でノースリーを徹底し、レオナルド・メインデルに残り2秒でダンクを決めさせ、そのまま逃げ切った。
千葉Jは前日の62-81の大敗から見事なカムバックで雪辱を果たした。ジョン・パトリックヘッドコーチは、次のように勝因を語る。「昨日はボロ負けで、最初から集中がよくなかったです。今日はディフェンスで第3クォーターの途中、2分間くらいピック&ロールから連続で得点を取られた以外は頑張りました。そしてウチは5ターンオーバー、相手は15ターンオーバーでした。このタフなスケジュールの中で、フィジカルな試合で東京に勝てたことを誇りに思います」
千葉Jのゴール下を支えるジョン・ムーニーは本日も36分51秒とフル稼働し、フィールドゴール12本中9本成功の21得点13リバウンド2スティール2ブロックの獅子奮迅の活躍で勝利の立役者となった。
「昨日の負けからやり返すことができて、とても大きな勝利です」と語るムーニーは、ポストシーズンのような熱狂を会場から感じたと続ける。「このような接戦となったことで、会場は本当に盛り上がってエキサイティングな試合でした。間違いなくアルバルク東京はチャンピオンシップ(CS)に出場するチームですし、今日はCSのような雰囲気で最高でした」
パトリックHC「若い選手にとって、最高のロールモデルだと思います」
今シーズンの千葉Jは、序盤からリーグ戦と並行した東アジアスーパーリーグ(EASL)を戦うタフスケジュールの影響もあって故障者に苦しめられてきた。しかし、ムーニーはその中でも欠場したのは数試合のみ。さらに出場した試合では30分以上のフル稼働が当たり前かつ、コートに立っている間は常にエナジー全開のハードワークで躍動する傑出したプレーを見せている。
EASLと天皇杯の2冠はムーニーの存在があってこそと言っても過言ではない。絶対的エースの富樫と同等の支配力を見せているムーニーだが、パトリックヘッドコーチは「もちろん試合のパフォーマンスは素晴らしいですが、コーチとして一番評価するのは、毎日の練習の努力とリーダーシップです」とオフコートでの振る舞いも絶賛する。
「明日のようなオフの日のトレーニングは自主参加ですが、ムーン(ムーニーの愛称)は、必ず来てウェイトとシューティング、ストレッチなどをやっています。若い選手にとって、最高のロールモデルだと思います」
ムーニーにこの点について聞くと、「コンディションを良い状態で保つためです。僕にはルーティーンがあり、それをしっかりと守ることで試合をフレッシュな気持ちで迎えられ、すぐにリズムに乗ることができます」と語る。
何より過密日程をパフォーマンス低下の言い訳には決してしたくないという、トップアスリートとしての強い矜持がムーニーにはある。「(試合翌日に)何もしないよりは、身体を動かす方がコンディション維持に良いです。スケジュールはタフですが、プロ選手としてしっかり管理するのは当然です。今夜はぐっすり寝て、明日もトレーニングを少しはやると思います」
そしてムーニーはフィジカル面に加え、メンタル面でもフレッシュな状態にあると続ける。「僕たちはタイトルについて、まだハングリーです。すでに2つ獲得していますが、メインの目標はリーグタイトルで、今はそこにフォーカスしています。もちろん昨年のファイナルで敗れた悔しさは、まだ胸に残っています」
今の千葉Jは、東地区首位の宇都宮ブレックス、2位のA東京と大きなゲーム差があり、順位をひっくり返してCSのホームコートアドバンテージを得るのは非現実的かもしれない。だが、レギュラーシーズンの成績は劣っていても、現時点のチーム力で宇都宮、A東京と同レベルにあるのは間違いない。ムーニーがこのままハイパフォーマンスを継続している限り、リーグ優勝による千葉Jの3冠達成は十分に可能だ。
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