相原アレクサンダー学

宮永HC「ディフェンスからトランジションで走ることをやってくれて良かったです」

3月23日、佐賀バルーナーズはアウェーに乗り込んで川崎ブレイブサンダースと対戦。終盤まで互角の展開に持ち込むが、ここ一番の決定力で及ばず65-74で競り負けた。

佐賀は序盤、積極的に放ったアウトサイドシュートが入らず、逆に川崎に確率良く3ポイントシュートを決められ5-16と先制パンチをくらってしまう。だが、ここから佐賀は2ポゼッション連続でスティールから速攻を決めるなど守備で流れを変える。そして第2クォーターに入っても引き続き堅守をキープ。川崎の得点源である藤井祐眞とニック・ファジーカスを徹底マークし、2人からこのクォーターだけで6つのターンオーバーを誘発した。川崎オフェンスを完全に停滞させて、32-34と追い上げてハーフタイムを迎える。

後半に入っても互いに譲らず僅差でずっと試合は進んでいく。第4クォーター、佐賀は帰化枠のジョシュ・ハレルソン、ヨーリ・チャイルズとチェイス・フィーラーを同時起用するビッグラインナップで目論見通りに高さのアドバンテージを生かして、オフェンスリバウンドを量産していく。だが、そこからシュートを決めきれないことで、リズムを崩してしまう。逆に川崎はエースの藤井が抜群の勝負強さを披露。65-65の同点で迎えた残り2分半から連続で3ポイントシュートを決めて均衡を破り、川崎がそのまま逃げ切った。

この試合の佐賀は、最終スコア以上に肉薄した戦いを演じていた。チームの要であるレイナルド・ガルシアが第3クォーター早々に4つ目のファウルを喫し、プレータイムが13分45秒と制限された中で食い下がることができたのは、ベンチメンバーの奮闘によるもの。特に目立っていたのが相原アレクサンダー学で、ゴール下への力強いアタック、球際での激しさが光るディフェンスと攻守で勢いを与え、17分18分の出場で7得点2スティールを記録した。

明成高校3年時に、八村阿蓮とともにチームの中心としてウインターカップ優勝を達成した相原は、青山学院大でのプレーを経て、2022-23シーズンに当時B2の香川ファイブアローズでプロ生活のスタートを切ると、今シーズンから佐賀に加入した。

シーズン前半戦はプレータイムを中々得られなかったが、ここにきて徐々に出番を増やしている。20日の水曜ゲーム、長崎ヴェルカ戦でも17分52秒の出場時間で8得点1スティールを挙げており、2試合続けての活躍となった。佐賀の宮永雄太ヘッドコーチは、「水曜日の試合で相原は良いスパイスをもたらしてくれました。今日もディフェンスからトランジションで走ることをやってくれて良かったです」と、パフォーマンスを評価している。

相原アレクサンダー学

「自信がつくことで、気持ちにも少しずつゆとりが出てきたところは正直に言ってあります」

相原自身は今日のプレーについて「前半は自分なりに手応えがありましたが、後半は失速してしまいました。これをなくし、もっとチームに貢献できるようにやっていきたいです」と総括。7得点全ては前半に挙げたもので、フリースロー2本失敗など無得点に終わった後半のプレーに対する反省を強調した。

佐賀と香川はともに昨シーズンB2で戦っているが、B1昇格の佐賀に対し、香川はB2ワースト2位の成績でB3に降格と、対照的な成績だった。それだけに佐賀加入による環境の大きな変化に当初はアジャストするのに苦労したと相原は明かす。

「去年、佐賀はB2で優勝してB1に上がっているチームです。加入当初は考えすぎて自分のプレーが出せなかったところがありました。また、自分は経験も浅いですし、B1初挑戦でフィジカルの違いを感じました」

しかし、そこから日頃の努力と、試合で学んだことを生かすことで「まだまだ頑張らないといけないところはたくさんあります。それでも、前に比べると自分のやりたいことが出せるようになってきたことで、自信がついてきました」と、着実に成長している。その結果として、「気持ちにも少しずつゆとりが出てきたところは正直に言ってあります」と、冷静にプレーできる好循環が生まれている。

前述の通り、相原はB1で中位と奮闘している佐賀で、徐々にプレータイムを増やしつつある。B2下位のチームで平均15分以下だった1年前に比べると、特筆すべきステップアップを成し遂げようとしている。ここまでの道のりを「簡単な話しではなかったと思います」と振り返る相原だが、同時に険しいからこそ充実していて、楽しさがあると語る。

「バスケットを楽しむことは自分の中で一番大切にしている部分です。そして、レベルが高くて厳しいからこそ楽しいですし、今はとても充実しています」

厳しい状況ではあるが、佐賀は昇格1年目でチャンピオンシップ出場の快挙を成し遂げられる可能性がある。そのためには、トランジションでスピードに乗ったボールプッシュや鋭いドライブで守備を切り崩していく、相原の貢献も重要な要素となってくる。