初戦に勝てば次の対戦相手は第1シードのヒューストン大が濃厚

現地17日、アメリカでNCAAトーナメントの組み合わせを発表する通称『セレクション・サンデー』が行われ、富永啓生がエースを務めるネブラスカ大が順当に選出された。全68チームで行われるトーナメントは、イースト、ウエスト、ミッドウエスト、サウスの4地区に分かれ、ネブラスカ大はサウス地区の第8シードとなった。

今シーズンのネブラスカ大は、全米屈指の強豪カンファレンスであるBIG TENでカンファレンス3位(12勝8敗)、通算23勝10敗と、大学史上に残る好成績を記録。NCAAトーナメントに出場するのは2014年以来通算8度目で、第8シードは1991年の第3シード、94年の第6シードに次ぐ高順位だ。

現地22日の初戦で対戦するのは、第9シードのテキサス農工大た。BIG TENと同じく強豪揃いのSECカンファレンスで9勝9敗の成績を残し、通算20勝14敗をマーク。11月下旬には全米トップ25ランキングで最高12位にランクインしたが、2月には5連敗を喫するなど調子を落とした。しかし、ここから持ち直しでカンファレンスゲームを3連勝で終えると、カンファレンストーナメントでは難敵ケンタッキー大を破るアップセットを達成するなど、上り調子でトーナメントに突入する。

チームの要となるのはウェイド・テイラー(3年生)とタイリース・ラドフォード(4年生)のガードコンビで、テイラーが平均18.9得点、ラドフォードが平均16.0得点を記録。チームで平均2桁得点を挙げているのは彼らのみ。ネブラスカ大としては、この2人の爆発をいかに抑えるかが勝敗の大きな分かれ目となる。

ちなみにネブラスカ大とテキサス農工大は、女子のトーナメントでも初戦で対戦する。また、両チームにはハコート外での因縁もある。先週の水曜日、ネブラスカ大のアスティック・ディレクター(運動部部長)であるトレブ・アルバートが、5年契約でテキサス農工大の同職に就任することが発表された。ネブラスカ大のフットボール選手として活躍したアルバートは、昨年11月に2031年までの契約延長に合意していたが、その契約を早々に解除しての移籍となった。『ESPN』によると、アルバートとネブラスカ大の新契約は年俸170万ドル(約2億5,000万円)、2026年からは210万ドル(約3億1,300万円)へと増額され、2024年シーズン終了までに412万ドル(約6億1,500万円)を支払うことで契約を解除できる内容だった。テキサス農工大ではアスティックディレクターでは全米トップ10クラスの年俸となり、転職によって大型昇給を果たすことに。ビジネス面においてアルバートの選択は妥当だが、それでもネブラスカ大の関係者にとっては契約延長からあまりに早いタイミングでの離脱で、失望の声は大きかった。

ちなみに初戦を突破すると、2回戦では第1シードのヒューストン大と第16シードのロングウッド大の勝者と対戦する。勝負に絶対はないが、ヒューストン大が相手となる可能性は高い。近年、2021年のファイナル4など安定した成績を残しているヒューストン大の特徴は鉄壁のディフェンスで、今シーズンもここまで全米1位の平均57失点だ。まずは初戦に勝ち、第1シードの難敵相手に富永が3ポイントシュートを次々と沈め、全米を沸かす姿を楽しみにしたい。