NCAA1部の名門ゴンザガ大に、順調に行けばこの秋に入学する。
この春に明成高校を卒業し、NCAA1部に所属するゴンザガ大への進学を目指す八村塁。この5月からゴンザガ大学のESL(語学学校)に通うことが決まったため、今週末の渡米を控えて会見を行った。
「バスケを始めたのが中学校の時で、コーチに誘われた時から、何を見てそう思ったか分からないんですけど、もうNBAに行くという話をしていました」と八村は語る。「最初は(NBAは)僕の夢だったんですが、色々な舞台で色々な経験をしていくうちに、夢が目標に変わってきました」
ただ、その挑戦はあくまで自然体だ。アメリカに行って楽しみにしていることは「食事」だと言う。「肉がいっぱい食べられると思うので。そこが楽しみです」。そして「不安よりもワクワクのほうが圧倒的に大きい」と強心臓ぶりを見せる。
「ゴンザガ大でプレーすることを想像するとワクワクします。前日のNCAAトーナメントも見ていましたが、あそこでプレーするんだと考えます。はい、楽しみです」
もっとも、まだプレーより先に勉強をしなければならない段階だ。3月の高校卒業後も大学進学適性試験(SAT)をクリアすべく、毎日7時間から8時間の英語の猛勉強。バスケの個人練習で気分をリフレッシュさせ、また勉強に戻る日々を続けてきた。
卒業後も自分のために英語とバスケの環境を準備してくれた明成高校に八村は感謝を述べている。「今まではあまり勉強もしてこなかったので、学業を求められるのは大丈夫かなという不安もありました。それでも明成高校が助けてくれて、良い高校に出会えて良かったです」
勉強を重ねるごとにSATの点数は伸びてきており、入学に必要な語学力習得に八村もようやく手応えを得られているようだ。アメリカに行っても引き続き勉強は求められるが、順調に行けばアメリカの新学期シーズンとなる9月に正式入学することになる。
ゴンザガ大はNCAA1部の所属で、NBAの選手を多数輩出している名門校。もちろん、所属選手のレベルは高い。NBAより前に、まずはNCAAで活躍して評価を勝ち取る必要がある。
八村は自分の長所を「大きさにプラスして走れる機動力、あとは外からのシュート」と分析する。「外からのシュート精度を上げていけば、中に攻めやすくなったり、プレーの幅が広がったりすると思うので」
そしてもう一つ、八村が挙げたのは「謙虚さ」だった。「日本人には謙虚なところがあって、外国人に比べたら僕もそうなので、その謙虚さを良い意味で出していきたいと思っています」
高校バスケ界では突出した存在だった八村だが、今後はレベルが格段に上がり、苦戦を強いられるケースも出てくるだろう。少なくとも高さの優位性はほぼゼロになると見ていい。だが、彼の武器は身体能力だけではない。機動力と外からのシュートという、日本人選手らしい特徴も確かに備えているのだ。
八村塁という稀有な素材がアメリカでどんな化学変化を起こすのか。日本のバスケットボール界を引っ張る存在になってもらわなければいけない選手だけに、大いに期待し、注目したい。