「みんなで支え合いながらやっていけるのは自分の中で大きいです」
バスケットボール女子日本代表はオリンピック世界最終予選の初戦で、格上のスペインと対戦。激しいボールマンプレッシャーとトランジション、高確率な3ポイントシュートを披露し、86-75で快勝した。
まさにコンセプトとする『走り勝つシューター軍団』を体現する結果となったが、馬瓜エブリンの存在感は際立っていた。18分24秒のプレータイムながら6本中3本の3ポイントシュートを含む、11本中7本のフィールドゴールを成功させチームハイ(タイ)の20得点を記録した。
エブリンは5点リードの第1クォーター残り約3分にコートインすると、いきなり3ポイントシュートを沈めた。エブリンは「1本目を決めるのは大事なこと」と言い、この1本がハイパフォーマンスの引き金になったと振り返りつつ、チームを後押ししたい気持ちがあったと明かした。
「自分のバスケ人生を通して、1本目をまず決めることがすごい大事なことだと思っています。ただそれ以上に、自分が引かずにみんなに勇気を与えられるようなプレーを1本することによって、みんなが大丈夫だって思ってもらうことが1番だと思っていました。その部分が、3ポイントで現れたんじゃないかなと思います。どうやってみんなに伝染するかというのが今回の鍵だと思っていたので、それができて良かったです」
3ポイントシュートもさることながら、2度のバスケット・カウント獲得が示すように、ドライブも効果的だった。本職ではないセンター起用となったが、スピードのミスマッチを突き、特にオフェンス面でアドバンテージをもたらした。エブリンは「プレッシャーは確かにありました」と、慣れないポジションでのプレーに不安を抱えていたことを明かしたが、仲間の存在によって思い切りの良いプレーができたと語った。
「いろんなことを乗り越えてきたから、自分のことを信じてやるしかないと思っていました。今までの自分だったら落ち込んでいたかもしれないけど、もし(調子が)悪かったとしても、みんなが助けてくれるので、ここで落ち込むことはなかったと思います」
エブリンは試合前にも「心強い仲間がいるので、1人で戦うわけではないです」と、気心の知れたメンバーがいることでリラックスして大一番に臨めると語っていた。そしてその言葉通り、普段と変わらない力強くアグレッシブなプレーで、日本の勝利に大きく貢献した。「誰と一緒にやっているかというところで(妹の)ステファニーもいるし、宮崎(早織)選手もいます。みんなで支え合いながら、鼓舞しながら、やっていけるのは自分の中で大きいです」
終始仲間の存在を強調したエブリンだが、チームメートもエブリンから勇気をもらっていたことは間違いない。この双方向の信頼が、今の日本の一番の武器なのかもしれない。