日本代表の馬場雄大からテクニカルファウルを誘発
京都ハンナリーズは1月17日の敵地・長崎ヴェルカ戦を81-75で競り勝ち、連敗を3で止めた。プロ2年目、24歳の若さで今シーズンからキャプテンに就いたポイントガードの小西聖也は、終盤に6点を挙げるなど攻守に存在感を発揮した。
馬場雄大のいらだつ表情が小西の仕事ぶりを物語っていた。第4クォーター残り3分22秒、ハーフライン付近のプレッシャーで小西にディフェンスファウルを宣告された直後、馬場は小西に激しく詰め寄り、テクニカルファウルを宣告された。身長差14cmをものともせず、スクリーンをかいくぐって馬場を追い回し続けた小西の真骨頂だった。第16節(1月6〜7日)の千葉ジェッツ戦でも富樫勇樹に圧力をかけ続けた。「すごい選手たちとマッチアップして自信になっていますし、相手が嫌がるディフェンスをこれからも心がけたい」
長崎戦はオフェンスでも魅せた。残り1分27秒にはレイアップを、残り57秒にはフローターを、それぞれ守備の隙を突いた合わせから決めた。残り50秒にはフリースローをもらい、2本とも成功。前半5点ビハインドから、逆転で19日ぶりの白星を引き寄せた。「ヴェルカさんはトランジションが速く、準備していたけど、前半は相手のハードなディフェンスからターンオーバーを喫してしまった。後半は相手のトランジションを守れて、徐々に自分たちのペースに持ち込めた」と勝利に安堵した。
京都は今シーズン、ロスター13人中9人が変わった。また、フォワードのステイシー・デイヴィスが11月に退団し、昨シーズンに所属していたシェック・ディアロと再び契約。シューターの前田悟も長期離脱を余儀なくされた。「前半戦はタフだった。ケガ人が多く、新加入も多い中、まだまだお互いに学んでいる段階」と指揮官のロイ・ラナが言うように、チームケミストリーの醸成を急いでいる。
小西も「なかなか噛み合わず、うまくいかない前半戦だった」と認める。この試合も勝ったとはいえターンオーバーは17を数えた。それでも、クラブへの信頼は揺らいでいない。「思い描いていたような結果ではなかったけど、勝利を伸ばせるようなメンバー、チームだと思う。試合を重ねるごとにチームの信念は持ち続けられています。周りのクラブも強いけど、どこが相手でも勝つ可能性があります」
スタッツに残らないプレーをヘッドコーチは評価
小西は強度の高いディフェンスとスクリーンやボックスアウト、テイクチャージなどスタッツに残らないプレーでチームにエネルギーを与えている。だからこそ、クラブは24歳の若手にキャプテンという大役を任せた。
ラナヘッドコーチは「信じているし、好きな選手。試合も練習もハードに取り組む。まだまだ若い選手なので大きな役割を与えず、プレッシャーをかけない形でお願いした。他の選手がついていきたいと思えるようなチームの模範になってほしい」と人間性を買った。また、現時点でも努力を認め、「今も良い形でやってくれているし、年齢を重ねればより強いリーダーシップが出てくる」と信頼は厚い。
小西もその期待に応えようと日々を過ごしている。「チーム最年少でキャプテンになりました。外国籍選手はベテランで経験があるので、コミュニケーションを取ってチームを良くしていきたいです。コート内外で誰よりもハードワークしてベンチでも声を出して『あいつ頑張っているな』と思ってもらえるように意識して行動しています」
小西は洛南高から関西学院大に進み、2021-22年シーズンに特別指定選手で京都に加入。2022-23シーズンにプロ契約を結んだ『京都の星』だ。出場時間や主要スタッツも年々伸ばしている。第2節(10月14日)の三遠ネオフェニックス戦で今季初先発を果たすと、現在まで31試合中15試合で先発を務めている。
最大の武器となるディフェンスにも磨きがかかっている。外国籍選手のスクリーンをファイトオーバーでかわし、あきらめずに詰め寄る圧力で、馬場や富樫、比江島慎ら日本代表クラスを相手にしてもシュートに持ち込ませない場面が目立つ。「昨シーズンからロイさんにも評価してもらっているし、自信もあります。相手の特徴をコーチ陣と話して、映像で確認して良い準備ができている」と、エースキラーとしての存在感を高めている。
チームは現在9勝22敗で西地区最下位。しかし、ロイコーチは「若いチームですが要所に良い兆候が出てきています。継続していくことが大事」とチームが上向く手応えを感じ取っている。「期待通りの結果にはなっていませんが、全員下を向いていません。まだまだチャンピオンシップのチャンスもあると思います」と、24歳の若きリーダーは力を込めた。
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