宇都直輝の叱咤激励で覚醒したルーキー、田代直希の活躍で琉球ゴールデンキングスが連敗ストップ

2017/01/30
Bリーグ&国内
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文・写真=鈴木栄一

田代&渡辺、専修大学の先輩後輩コンビがチームを救う

1月29日、琉球ゴールデンキングスがホームで新潟アルビレックスBBと対戦。終盤までもつれる熱戦を77-74で制し、連敗を3で止めた。この試合、琉球はルーキーのフォワードである田代直希がキャリアハイの23得点、そして現在大学4年生の渡辺竜之佑が8得点11リバウンド2スチールをマーク。23歳の田代と22歳の渡辺、専修大学の先輩後輩による若手コンビの躍動が大きな勝因となった。

試合は、第1クォーターに先行した新潟が、第2クォーター序盤に池田雄一、五十嵐圭などの得点で突き放し、約7分で30-19とリードを2桁に広げる。しかし、ここから琉球は、前から積極的に当たるプレスディフェンスを仕掛け、新潟のターンオーバーを誘った。そして、田代がこのクォーターだけで13得点を挙げ、前半を39-45と点差を詰めて折り返す。

第3クォーターに入っても田代の勢いは止まらず。このクォーターでも10得点とチームを牽引すると、琉球は61-59と五分に持ち込んで第4クォーターに突入する。第4クォーターは一進一退の攻防が続くが、琉球は要所での踏ん張りが光り、残り約8分から常にリードを保つ展開で逃げ切った。

琉球の伊佐勉ヘッドコーチは、「田代がやっと彼らしいプレーでチームに貢献してくれたことは、彼自身そしてチームにとっても大きいです。田代は大学時代、攻め気満々のプレーを見せており、それがチームに呼んだ理由の一つでした。その姿を今日は見られたので、続けてもらいたい。渡辺はリバウンドを期待して出していますが、大学のシーズンが終わってすぐに2桁リバウンドを取れる。驚異的なリバウンダーと思いました」と、まずは今日のヒーローである2人を称えた。

敗れた新潟の庄司和広ヘッドコーチも「全体的にはそんなに悪くなかったですが、注意していた渡辺君のリバウンドが誤算でした。昨日リバウンドを取られていたので、今日はそこを消しましょうと話していたのが、今日も10本取られてしまった。そこがもったいなかったです。田代君の23得点もやられすぎでした」と、田代と渡辺の存在が勝敗を分けたポイントになったと振り返った。

また新潟では、前半で3ポイントシュート5本中5本成功と絶好調だった池田が、後半は故障によってプレーできず。体調不良で前日に続いて欠場した畠山俊樹とあわせ、主力を2人欠いた。「後半、池田がケガをしてプレーできない中、第3クォーターに私がプレータイムをうまくシェアできなかったことが敗因に挙げられます。そこが本当にもったいなかったです。出場時間で30分以上の選手が3人(五十嵐、佐藤公威、遥天翼)いたのは私の力不足です」とヘッドコーチが嘆いたように、タイムシェアがうまくいかなかったことも最後に響いた。

23得点の田代直希、世代を代表するスコアラーの本領発揮

本日のヒーローである田代は、「今週は、とにかくボールを持ったら得点を狙うことを意識していました。試合でできたので、これを続けていきたいです」と語る。

その意識の変化は大学の先輩である富山グラウジーズの宇都直輝からの叱咤激励がきっかけだった。「先週の富山戦の後、宇都さんと話す機会があり、そこで『大学生の時のお前じゃない』と言われました。そこで、これまでの自分を見直すと、パスばかりをしていました。もともとの自分は、どんどん得点を狙っていくプレーをしており、練習から意識を変えていきました」

大学時代、世代を代表するスコアラーとして名を馳せた本領をようやく発揮したルーキーは、「今日は出来すぎだと思いますが、一つ仕事ができてホッとしています」と語った後、今後もオフェンスに絡んでチームに貢献していきたいと意気込んだ。

「すべてのことをがむしゃらにプレーすることを心がけています。(岸本)隆一さん、(喜多川)修平さんのマークを自分に寄せることができれば、チームのオフェンスも楽になってきます」

指揮官の決意「目先の1勝のためにスタイルは変えない」

連敗をストップさせたものの、琉球はまだまだ黒星先行。そして来週はリーグ随一の強豪である川崎ブレイブサンダースとのアウェーゲームと厳しい戦いは続く。これまで琉球は、bjリーグで勝率8割以上をコンスタントに残す常勝チームだった。

それだけに「今まではここまで負けなかった。負けることによって『自分たちのやっていることが違うんじゃないのか』という思いは、僕でさえ感じることがあるので、選手もあると思います」と伊佐ヘッドコーチは素直な思いを明かす。ただ、それでも昨季から継続している『人とボールがよく動くアグレッシブなバスケットボール』という目指すスタイルにブレはない。

「チームにとって一番の栄養は勝ちです。ただ、目先の1勝のため、やりたいものと違うバスケをして勝つことを選ぶことはありません。自分たちの目指す方向性での戦いを続けますし、そのためにしっかり選手と話をしながら練習から丁寧に取り組んでいます。結果も大事ですが内容にこだわって練習からやっていくことが、次の試合、そしてシーズン終盤につながると思っています」

今回の田代、渡辺の活躍もあり、指揮官は「これでチームが2つ作れる」と手応えを得ている。「練習からよい競争が生まれます。練習で良い選手が、試合に出てしっかりプレーをして勝ちにつなげていければ、シーズンを戦えていけます」

「岸本、山内の両ガードによるスピードはウチの武器です。そして田代、渡辺はウチの中ではサイズがあるので、そこを生かしながら最後は融合したい。いろいろなタレントがいるのでもっともっと面白いチームにできます。相手を錯乱させる意味でも両方を使いながら、最後にミックスして、その試合のよい選手で戦えるよい感触があります」

元々のチームの特徴である『速さ』に加え、若手の台頭で『強さ』という個性も加えつつある琉球。シーズン後半戦の巻き返しなるかは、若手が今日のような貢献を今度も続けられるかにかかってくるかもしれない。