マイルズ・マクブライド

クイックリー放出によりポイントガードの2番手に昇格

マイルズ・マクブライドは2021年に2巡目指名を受けてニックスに加わり、ジェイレン・ブランソンとイマニュエル・クイックリーに続く第3のポイントガードを務めてきた。ドンテ・ディビンチェンゾにクエンティン・グライムズもいてガードの選手層が厚く、序列が下の選手にあまりプレータイムを与えないトム・シボドーの起用法もあって、安定した出場機会は巡って来なかったが、マクブライド自身が「僕は毎日ハードワークしてきた。その姿をコーチ陣がちゃんと見ているのは分かっていた」と語るように、彼は腐ることなく自分自身にフォーカスしてきた。

3年目の今シーズンもプレータイムは伸びず、むしろ減る傾向にあったが、彼の姿勢は変わらなかった。開幕から32試合を終えた時点で転機が訪れる。OG・アヌノビー獲得のためにRJ・バレットとクイックリーを放出。マクブライドはブランソンに次ぐ2番手へと昇格し、同時にニックスから3年1300万ドル(約24億円)の新契約を受け取ったのだ。

「正直に言えば、契約がもらえるとは思っていなかった。フロントとエージェントが僕の将来について良い話し合いをしてくれた。僕としては信頼されたことがうれしいし、その信頼にプレーで応えなきゃいけないと思っている」

トレードから3試合目となったセブンティシクサーズ戦、第1クォーター残り4分半で投入されたマクブライドは、第1クォーター終了までに5本の3ポイントシュートを放ち、そのうち4本を成功させた。この日のニックスはスロースタートで序盤から2桁のビハインドを背負ったが、マクブライドが引っ張るセカンドユニットが劣勢を跳ね返し、第1クォーターを34-30と逆転して終えると、立ち直った先発陣の奮起で第2クォーターを41-25と圧倒。苦戦しそうだった試合で一転して優位を作り、後半も常にセーフティリードを保って128-92と完勝した。

マクブライドがコートに立った15分間でチームは+20のリードを作った。15得点に加えて4アシストを記録したマクブライドは「すごく良い感覚でプレーできた。自分がこれまでやってきたことを信じ、チームメートがパスをくれると信じていた」と語る。

「ペースを押し上げ、チャンスがあればシュートを打ち、ディフェンスで相手を止める。それが僕の仕事だ。シュートについては、今後の試合でも決めていくつもり。もちろん、毎試合で今日みたいに決まるとはいかないだろうけど、今日と同じように自信を持って打っていきたい。今後もプレータイムがもらえるようなら、もっと良いプレーをする自信はあるよ」

クイックリーを残していたら、ニックスはかなりの大型契約を提示しなければならなかったところだが、それがマクブライドに置き替えられればサラリーキャップ的にはかなり楽になる。特定の選手にプレータイムが偏るシボドーの下では珍しいことだが、こうやって陽の当たらないところで努力を重ねていた若手が結果を残せばチームには勢いが出る。アヌノビー獲得から東西のトップチームであるティンバーウルブズ、シクサーズ撃破を含む3連勝。ニックスは波に乗りそうだ。