赤間賢人

2年連続準決勝で涙「フィジカル、体力が足りなかった」

藤枝明誠は昨年突破できなかった準決勝で再び涙をのんだ。日本一に立った福岡第一に65-94で完敗。エースで世代屈指のスコアラー・赤間賢人のパフォーマンスには、前日の準々決勝の疲労が色濃く感じられた。「40分間、良いプレーを続けられるフィジカルも体力も足りませんでした」

前回大会の準決勝で76-78で敗れた宿敵・開志国際との準々決勝。自ら得点しつつ、ディフェンスが寄ってくればパスをさばき、76-74でリベンジを果たした。しかし、最大19点あったリードを第4クォーター残り2分半で逆転され、再逆転して逃げ切った激戦のダメージは残った。

「3年生としてチームを勝たせないといけない」と迎えた準決勝。気持ちに身体が、結果がついてこない。1本目のシュートとなったブレイクからのジャンパーこそ沈めたが、福岡第一のマークは厳しさを増し、第1クォーターはフィールドゴール6分の1の4得点。第1クォーターから12-26と差を開けられた。「福岡第一のブレイクは想定を上回っていて、良いリズムでプレーさせてしまいました」

第2クォーターは開始から4連続で2ポイントシュートを放ったが、これも決め切れない。残り7分44秒。ボールを運んでいると、8秒バイオレーションの笛が鳴る。冷静さを欠いていた。金本鷹コーチから交代を告げられ、うつむいた。「相手のプレッシャーが強い分、外のシュートばかりになってしまうと相手の流れを渡してしまう。積極的に切り込んだけど、やりすぎて空回りした。反省点です」

ベンチでは金本コーチから「もっと周りにパスをさばいて、広い視野を持って試合を見なさい」と助言を受けた。コートでは途中出場のチームキャプテン・小澤朋樹らが試合をつないでいた。「小澤が引っ張ってくれた。チームの雰囲気が良くなったので助けられました」

赤間賢人

小澤たち周りの3年生に支えられた3年間でした

24-36とわずかに点差を詰めて迎えた第3クォーターは、8-0のランなどで一時6点差に。赤間も連続得点で食らいついた。しかしタイムアウトを取っても流れを止められず、残り5分で一気に19点差に広げられた。

試合終了の瞬間はコートで迎えた。高校ラストゲームで赤間が挙げた得点は19点。「もっと点を取れると思っていたんですが、マークが厳しかった。得点面で引っ張らないといけなかったのに。悔しいです」。チームトップの23点を挙げた小澤、22リバウンドと体を張ったボヌ ロードプリンス チノンソについて「助けられました」と感謝しつつ「点を取れない時にはアシストやディフェンス、リバウンドで貢献しないといけなかったです」と続けた。

今年の3年生は、金本コーチが「物静かで自分の言葉を伝えることに抵抗を持っている」と語るように、大人しい性格の選手が多かった。赤間も「元々みんなの前に立ってしゃべったり、声を出したりして引っ張っていくことはできませんでした」と話す。しかし、新チームになりゲームキャプテンを任されて、少しずつ変わっていった。「チームキャプテンの小澤たち周りの3年生に支えられた3年間でした。点差が離れて苦しい展開だった第4クォーターも、小澤は声を出し続けてくれました」

敗れた福岡第一の崎濱秀斗や山口瑛司とは中学時代、同じ福岡県でプレー。藤枝明誠で大きく才能を開花させた。「金本先生には自分のプレーが悪くて怒られる場面もありました。良い対応ができなかったこともあったけど、最後の最後で指示のおかげでチームが成り立ったと思います」

卒業後は2023年のインカレ準優勝校、東海大に進学する。「プレーもコミュニケーションの部分でもまだまだ足りない」。大会屈指のスコアラーは高校で果たせなかった日本一を目指す。