株式会社ティーアンドエス

株式会社ティーアンドエスは日本最大級のバスケメディア『BASKET COUNT』を立ち上げるなど、バスケ界の発展に寄与してきた。2022年8月に事業を株式会社マイネットに譲渡したが、香川ファイブアローズのダンスパフォーマンス集団『United Archers』をプロデュースし、ティーアンドエスが抱えるテックダンスフュージョン集団『CONDENSE』がサンロッカーズ渋谷のBリーグ開幕戦のプロデュースを行うなど、現在もバスケ界との関わりは深い。

そして今回、福岡県を拠点にバスケットボールの技術や戦術を高いレベルで学ぶことができるプログラムを提供する『WATCH&C ACADEMY』に、『CONDENSE』がスポンサードすることに。『WATCH&C ACADEMY』はbjリーグ時代に2度のベスト5を受賞したことでも知られる青木康平を中心に、高いレベルでバスケに携わってきたコーチ陣を擁するアカデミー。また、スパーズでアスレティックトレーナートレーナーを務めた経歴を持つ『DICE』こと山口大輔がパフォーマンススーパバイザーを務め、バスケに打ち込める環境が整っている。

ティーアンドエスの代表取締役を務める稲葉繁樹、『WATCH&C ACADEMY』の代表であり、元プロバスケットボール選手の青木康平が対談した。

「子どもたちにどれだけ良い環境を与えられるか」

――あらためて、青木氏の経歴について教えてください。

青木 福岡県出身で現在43歳です。福岡大学付属大濠高校に進み、専修大学に行って、そこからみんなで作ったストリートボールチームに入りました。その後、bjリーグができたので、初年度からBリーグが始まる2016年までプロとして活動しました。Bリーグでも何チームか熱心に誘っていただいたんですけど、メンタル的にそのシーズンを過ごせるところまで至らず、結局僕の気持ちがついてこなくて引退しました。

――当時は35歳。年齢を重ねていくとメンタル面での準備が苦しくて引退を決意される方もよくいらっしゃいますね。

青木 そうですね、技術面で自信がなかったわけじゃなかったです。今でこそ、メンタルヘルスという言葉が浸透していますが、アスリートのメンタルヘルスって声を出しづらいと思うんですよ。見方を変えるとすごく弱く見えちゃうというか。アスリートと言っても、一般の人と同じ心を持っていて、ただスポーツに特化しているだけで弱い部分は一緒。敏感な人は敏感じゃないですか。オフシーズンに発散してそれで紛れればいいけど、どうも僕は最後の年は全然うまくいかなかったんです。毎年オフシーズンはクリニックをやったり、気分転換をしていましたが、最後はキツかったですね。

プロ選手がブランドを立ち上げるみたいなことを誰もやっていなかったので、WATCH&Cというブランドを2007年に作りました。翌年の2008年にWATCH&Cアカデミーを東京で立ち上げて、そこからスクールをやり始めました。

――バスケット・カウントが始まったのがBリーグ開幕年になりますが、お二人が繋がったのはどのタイミングでしょう?

稲葉 福岡の僕の友達が青木君のクラウドファンディングをアップしていて、体育館を作りたいっていうことを映画にしますと。「青木君攻めてるな」って思って、そこでマックス金額を支援しました。

青木 もともとバスカンのことは知っていたのですが、繋がったのはつい最近なんです。僕はドキュメンタリー映画を製作中なんですが、その中でクラウドファンディングをした時に3日で目標を達成できました。クラウドファンディング側の人から、大金を積んでくれた稲葉さんってご存じですかと言われ、その時は分からなかったんです。そこからフェイスブックで探して、友達申請したら稲葉さんが承認してくれて。そのままメッセージをしたら、バスケット・カウントを作った人ということが判明したんです。

稲葉 WATCH&Cの存在や名前はもちろん認識していたけど、青木君がWATCH&Cという事業の先に体育館を作ろうとしていることにすごく心が動かされた。部活じゃないことをやっていて、自分たちの練習場所を確保する苦労もしている。そういった環境面も含めて、強いチームにしていくために専門の場所を作っていくというのは、すごく必要があると感じたんです。

青木 学校の施設を借りているから、学校行事が優先になるのは仕方のないことなんですが、特にコロナの時は学校開放がなくなったりしてまったく体育館が使えない状態だったんです。その年は7カ月くらい無給で働いてましたね(笑)。

僕が抱えているスクールの子どもたちにどれだけ良い環境を与えられるかを常に考えています。そして、最終的な目標はバスケットボールにとらわれず、街作りをしたいと思っているんです。僕が引退してバスケット・カウントができてから何年も経った今、僕の思いに共感してくれて、こうやって会って稲葉さんと話ができるだけでも僕的にはありがたかったです。

稲葉 パフォーマンス面でも新たな形ができたらと思いました。WATCH&Cの試合に出ている子どもたちをパフォーマンスで応援する。そういったパフォーマンス部門を作るのも面白いんじゃないかなって。Bリーグは主にチアのチームだけどパフォーマーを抱えていて、それがコンテンツの一つになっている。クラブチームでもそれができたらもっと魅力的な大会に繋がるんじゃないかなって。楽しいがあるからこそ、関係者やお客さんも楽しいし。

青木 めちゃくちゃ面白そうですね。街作りという意味では、近所のおじいちゃんやおばあちゃんが応援しに来てくれたりとか、僕らが試合をすることでその人たちの日常にエネルギーを与えられたらいいなって思います。試合だけじゃなく、大会自体を楽しんでもらって人に良い影響を与える。それを子どもたちがやるんですから、素晴らしい取り組みですね。

WATCH&C ACADEMY公式サイト