初戦の41得点に続き、ジェラマイアを上回る39得点
大会初戦となった県立一関工業戦を100点ゲームで打ち勝った高岡第一は、2回戦でインターハイ王者の日本航空に挑んだ。チームを牽引するのはエースの笹倉快斗。初戦では41得点を荒稼ぎしたスコアラーは、日本航空のオルワペルミ・ジェラマイアと点の取り合いで真っ向勝負を挑んだ。
試合開始からわずか2分で0-12と出遅れるが、気持ちでは負けていなかったと笹倉は言う。「すごく強いチームなのは分かっていたので、まずは気持ちでした。僕たちは小さいチームなので外から思い切ってシュートを打って、ディフェンスでもファウルを気にするよりとにかくハードにやろうと考えました」
日本航空のジェラマイアはただ背が高いだけの留学生プレーヤーではない。200cmのサイズはもちろん、爆発的な運動能力、シュートとドライブのスキル、そしてチームプレーのスピリットも兼ね備えたオールラウンダーだ。そのジェラマイアが豪快なダンクを決めると、客席がどよめく。その勢いに飲まれてもおかしくない状況で、笹倉は積極的にシュートを放ち、これを決めていくことでチームメートを鼓舞し続けた。
第2クォーターを28-18と押し返し、後半開始早々に笹倉の3ポイントシュートで4点差に詰め寄る。しかし、ここでジェラマイアが奮起。得点だけでなくリバウンドにブロックショット、アシストと万能の働きを見せ、20点差まで高岡第一を突き放した。
「あの時間帯、シュートが入らなくなってバタバタしてしまいました。前半はウチが勝っている部分もあったと思うのですが、あそこでシュートが入らなかった時の対応が悪かったし、チームに声を掛けるのもあまりできませんでした」と笹倉は悔やむ。
この悪い時間帯を抜け出した後は、再び積極的にシュートを放ってチームを牽引し始めるのだが、日本航空を相手にこれだけの点差を付けられては、巻き返すのは難しい。78-98で高岡第一は敗れた。笹倉は3ポイントシュート8本成功を含むフィールドゴール32本中14本を決めて39得点。ジェラマイアの33得点を上回ったが、チームが負けては意味がない。
「エースは40点ぐらい取るもので、それで足りなければ50点でも60点でも取らなきゃいけなかったです。チャンスを決めきれなかったのもあるし、シュートを打てなくなってしまった時間帯もあって、自分ではもっと取れたと思っています」と笹倉は自分を責めた。
「僕がもっともっと点を取れば、この試合に勝てた」
新型コロナウイルスの影響が強かった時期に進路を決めない事情もあったが、地元の富山で全国を狙えるチームという理由で笹倉は高岡第一を選択した。「それもあるんですけど、八村塁さんや馬場雄大さんを輩出した富山に残って、自分も成長したいと思いました」と彼は言う。
去年はウインターカップ出場を逃し、今大会に懸ける思いは並々ならぬものがあった。出場権は勝ち取ったものの、大会1カ月前のU18ブロックリーグでは、ウインターカップ出場を逃したチームにも敗れて4戦全敗。「そこからウインターカップまで、死ぬ気で頑張りました」と笹倉は振り返る。「ウインターカップで活躍することを目標に3年間やってきて、この1カ月はどの1カ月よりも充実していたと思います。特に何か変わったことをしたわけじゃないんですけど、バスケに対する思い入れが本当に強かったし、楽しい1カ月でした」
2回戦敗退とはなったが、インターハイ王者を相手に堂々の活躍。やりきった思いがある一方で、エースとしてチームを勝たせられなかった悔しさが、涙となって笹倉の頬をつたう。
「2年から主力として使ってもらって、先生からも『お前は全国大会で十分通用する』と励ましてもらって、大事な場面はすべて託してくれました。その期待に応えられることをまだ見せたかったです。40点ぐらい取れたことで自分のやっていたことは間違っていなかったとは思いますが、僕がもっともっと点を取れば、この試合に勝ってまだ先に進めたとも思います」
大学でもバスケを続けるという笹倉は、「次のステージではもっと努力して良い選手になりたい」と語る。目標はBリーグでプレーするプロ選手。この悔しさが、彼をまた一つ大きく成長させるはずだ。