アンソニー・エドワーズ

自らの能力をアピールするようなプレーから方針転換

ハイレベルな戦いが続く西カンファレンスは、強豪同士で星を奪い合い勝率の差が開きにくい中で、ティンバーウルブズだけが安定して勝利を積み重ね、21勝6敗で首位に立っています。最大の要因はケガ人が少なく、安定した戦いができていることですが、ウルブズの歴史を考えれば『安定』は信じがたいものがあります。コーチングスタッフやロスターが大きく入れ替わったわけではなく、急に安定感あるチームになったのが不思議な状況でもあります。

ただし、アンソニー・エドワーズのプレーは大きく変わりました。どんなに強引でもこじ開ける破壊的な突破力を持ち味とするエドワーズですが、今シーズンは強引な突破を控え、シンプルにパスをさばく機会を増やしています。ダブルチームされたりヘルプディフェンスを引き付けた際のキックアウトパスはもちろん、自分がドライブしたいスペースをディフェンスが警戒しているとみれば、ドリブルを試みることさえせずにチームメートへパスを展開しています。

それは自らの能力をアピールするようなプレーだった昨シーズンまでと違い、個人ではなくチームとして、より簡単に、よりクレバーに得点を取るためのプレーへの変化に見えます。同時に試合を通してフルスロットルでプレーしていた昨シーズンまでと違い、余力を残しながら試合展開に応じた力の入れどころを探っているようにも見えます。

今シーズンはエドワーズの得点が25を下回った試合で10勝1敗なのに対して、25得点以上だった試合では9勝4敗となっており、チーム全体が好調ならばボールを回すことを優先し、苦しい展開になれば自らのアタックで打開することが増えました。ガムシャラに戦うのではなく、相手ディフェンスと試合展開を理解してプレーを選んでいくエドワーズの変化は、間違いなくチームに安定感を生み出しています。

実際、レーティングでチーム最高の+11.3を生み出しているだけでなく、オフコートのレーティングは唯一のマイナスになっており、チーム全体が好調な中でもエドワーズの存在価値は特別なものとなっています。その一方でエドワーズの個人スタッツを見てみると、得点、フィールドゴール成功率、リバウンド、アシストはいずれも昨シーズンと大差のない数字になっており、個人能力で明確な改善があるわけではありません。言い換えれば好調なシーズンを過ごしながらも、ウルブズには改善要素が残っているのです。

ウルブズはカール・アンソニー・タウンズを中心に得点効率の高い選手が多く、エドワーズが「やりすぎない」ことが重要だったのは間違いありません。それでも、自分の特別な武器である突破力をセーブしながらチーム全体を活性化させることは、口で言うほど簡単ではありません。22歳のエドワーズの精神面での成長が、ウルブズに安定した強さをもたらしています。