栃木が前半を圧倒する第1戦とは真逆の展開
栃木ブレックスと千葉ジェッツによる『頂上決戦』のゲーム2。第1戦では終盤に逆転するも勢いが続かず、千葉に敗れた栃木だが、今日は第3クォーターに猛追されるも逆転を許さず、我慢比べを制して82-64で勝利した。
ホームで連敗できない栃木は、序盤から攻守ともにアグレッシブにプレーして先手を取る。わずかなスペースから積極的にシュートを放ち、鵤誠司の連続3ポイントシュートでリードを奪うと、遠藤祐亮も前日の不調を晴らすかのように、2本の3ポイントシュートを含む10得点を挙げて20-13とリードした。
千葉の大野篤史ヘッドコーチが「ゲームの入り、ディフェンスのハードさに対して面食らった」と試合後にコメントしたように、序盤に試合の主導権を握った栃木のペースが続く。第2クォーターも速攻からライアン・ロシターのダンクで先手を取った栃木は、竹内公輔がギャビン・エドワーズをブロックするなど、インサイドの攻防でも優位に立った。インサイドで起点を作れずに外から打つしかない千葉は、この3ポイントシュートがことごとく決まらなかったことで得点が伸び悩んだ。
栃木は全員がハリーバックすることで千葉の速攻を封じ、逆にトランジションから遠藤が3ポイントシュートを沈めるなど、その勢いは止まらずリードを20点に広げた。
「良いオフェンスをやればトランジションは出されない」
それでも富樫の連続3ポイントシュートでビハインドを14点に縮めた千葉が、後半に入り反撃を開始する。強気にシュートを放つ石井講祐の連続3ポイントシュートを機に、マイケル・パーカーがフィニッシャーとなる得意の形が出始める。残り4分29秒にはエドワーズの得点で1点差と肉薄した。
それでも栃木はここで崩れなかった。再びディフェンスの強度を上げ、走る展開に持ち込むと、アキ・チェンバースからアンスポーツマンライクファウルを誘発し、微妙な判定ながら竹内がフリースローを獲得。さらには鵤の速攻で再び点差を2桁に乗せた。
栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、勝利を大きく引き寄せたこの時間帯をこう振り返った。「気持ちの部分で我慢ができました。良いオフェンスをやればトランジションは出されないのが大前提にあるので、オフェンスの組み立てが良くなったところもあるかもしれないです。戻る意識だったり、その前にファウルを使うとか、それができた結果がトランジションに繋がらなかった」
ディフェンスの強度を落とすことなく戦い続けた栃木は、比江島慎がパスカットからダンクをお見舞いするなど、試合の主導権を握り続けた。そして残り2分22秒、富樫からターンオーバーを誘発し、ギブスが3ポイントシュートを沈め、再び点差を20に乗せた時点で勝負アリとなった。
「戦う相手を間違えた」ことで失速した千葉
勝利した安齋ヘッドコーチは「ディフェンスを40分間強度の高い状態で保てたというのが今日の勝因」と、千葉を60点台に抑えた守備を強調した。
また、第3クォーターで1点差に迫られた場面については「完全に持っていかれるかと思いました」と語ったものの、「しっかりそこで我慢して、逆転されずそのままいけたのが良かった。勝つことはすごく難しいことを選手全員が理解したと思うので、これをベースに上積みして良いチームになれるようにやっていきたい」と、千葉の勢いに屈することなく勝ち切ったことに大きな意義を感じていた。
一方、敗れた大野ヘッドコーチは「インテンシティレベルが高くて、40分間ハードに戦われて、完敗です」と、素直に負けを認めた。1点差に迫りながらも失速した場面については、「戦う相手を間違えたのが一番」と、試合に集中しきれなかった点を挙げた。
「バッドコールがあっても切り替えなければいけない。それを引きずって、ディフェンスもやらずにチープなターンオーバーをする、栃木さんにつけ込まれる、その悪循環が出てしまった。強くなるためには、セルフマネジメントをしていかないと」
前日の雪辱を果たした栃木は、千葉の連勝を14で止めるとともに、『不連敗神話』を継続させた。千葉とのゲーム差を2に戻し、千葉の背中をピッタリとマークしている。