細谷将司

文・写真=鈴木栄一

「ガンガン行けよ」の言葉を受け躍動

2月2日、横浜ビー・コルセアーズはホームで三遠ネオフェニックス相手に83−82と激闘を制した。そして、横浜にとっては連敗を止めるだけでなく、攻撃のブランドン・コストナー、守備のプリンス・イベと攻守の要になっていた2人を故障で欠き、帰化選手エドワード・モリスがいるものの外国籍選手はアーサー・スティーブンソン1人の状況で、前日に敗れた借りを返せたことで大きな意義のある白星となった。

この価値ある勝利に大きく貢献したのが細谷将司だ。過去2試合連続で無得点など、2019年に入ってから前日の試合まで7試合に出場し6試合で1桁得点、そのうちの4試合で3得点以下と持ち味である得点面で大きく精彩を欠いていた。それがこの日は、試合序盤から積極的にアタックをしかけての14得点に6アシスト2スティールと攻守で奮闘した。

「プリンス(イベ)が水曜日の三河戦でケガをして、外国籍が1人しかいないですが、それでも負けてはいけない状況で昨日は負けてしまいました。反省としてエナジーが落ちていた部分があり、今日はチーム一丸で最初からエナジーを出してプレーしていこうと。そのところで1つになった結果が勝てた一番の要因です。そして、リバウンドを今日はみんなで取りに行き、特にエド(モリス)、アーサー(スティーブンソン)、(小原)翼もすごく頑張ってくれて、チームに力を与えてくれたことも大きかったです」

このように細谷は、横浜が勝利をつかめた理由を分析する。また、彼だけでなく、ガード陣も含めチーム全体でゴール下へのアタックを続けることで、前日は劣勢だったがペイント内の得点で逆に大きく優位に立ったのも大きかった。そこには大ベテランである竹田の存在が大きかったと振り返る。

「昨日はフリースローをチーム全体で6本のみだったので増やしたい。そこで最初に竹(竹田謙)さんがアタックしていけるぞという雰囲気を作ってくれました。僕も竹さんが作った流れを切らさないようにまずはリングにアタックすることを意識しました」

また、今回の会場となった平塚と同じ神奈川県西南部に位置する二宮町の出身である細谷にとって、この週末はまさに地元への凱旋試合。「平塚は地元で、知り合いが特に多く来てくれている。家族も横浜だと中々、来られないのが、平塚だと見に来てくれるので、思い入れのある場所です」とさらにモチベーションが高まる要素があった。

しかし、そんな中で前日の試合は無得点と沈黙。「昨日はシュートタッチが良くないと消極的になっていた。コントロールを意識しすぎたところがあり、試合のビデオを見て僕らしくないと思いました。そして周りの人たちがもっとお前らしくガンガン行けよと言ってくれて吹っ切れました」と、この試合ではいつも以上にアタックすることを意識したのが好結果に繋がった。

細谷将司

気持ちが昂り「審判の方には申し訳なかったです」

試合終盤、相手の太田敦也と接触しながらレイアップを決めて三遠がタイムアウトを取った後、ファウルが吹かれなかったことで審判に詰め寄ろうとし、チームメートに止められる、細谷にしては稀な場面があった。「審判の方にはこの場で申し訳なかったですと伝えたいです。気持ちが出てしまいました」と試合後に本人は反省しきりだったが、この闘志こそが活躍をもたらした要因の一つとなった。

細谷個人だけでなく、外国籍選手が足りない中での勝利はチーム全体にとっては大きな弾みとなる。今週に入って、湊谷安玲久司朱がベンチスタートから効果的に得点を挙げられているのは大きなプラスで、細谷は次のように語る。

「今日のゲームは手応えを感じています。インサイド、アウトサイドとバランス良く、良い感覚がすごくつかめました。タク(川村)さんに加え、アレク(湊谷)さんが入ることでもボールが落ち着きます。ガードとしてオプションが増えてやりやすいイメージです。これにコストナーが復帰することでさらにもう1段階、2段階もステップアップできる。ガードとしてすごく楽しみです」

この試合で生まれた上昇気流にしっかり乗り切れるのか。細谷、そして横浜にとって次週のライジング福岡戦は、残留プレーオフ圏内からの脱出へ向けて大きな意味を持つ2試合となってきそうだ。