福岡第一

部員115人を誇る今年の福岡第一をけん引するのは、ゲームキャプテンの崎濱秀斗とチームキャプテンの山口瑛司。11月の県予選で福岡大学附属大濠に敗れたことを受けて、最後のウインターカップは開志国際と東山が待ち構える激戦パートに入った。開志国際は前回大会決勝で、東山は夏のインターハイで敗れた因縁の相手。高校界屈指の実力を備えた崎濱と、9月に骨折した崎濱の不在を埋めるように成長した山口の2ガードが「リベンジの冬」に燃える。

「チームに迷惑をかけたという思いを全部ぶつけたい」

ーーキャプテンに就任してからの1年間を振り返ってください。

崎濱 人生初のキャプテンだったし、100人以上の大所帯を背負うのは不安でした。ただ、「自分のやるべきことはリーダーシップをとって引っ張っていくこと」とフォーカスできた1年間だったと思います。1番プラスになったのはコミュニケーションを取ることです。自分が声を掛け、リーダーシップをとらないとプレーの質が落ちると思って行動しました。

山口 秀斗は練習や試合でチームが向く方向を一つにしてくれる、チームに欠かせない存在です。

ーー崎濱選手は9月のU18トップリーグで骨折しました。

崎濱 23日の福岡大学附属大濠戦の第1クォーターで選手の足に乗ってしまい、ジョーンズ骨折の診断を受け、2カ月間、実家の沖縄でリハビリしました。一緒にキャプテンをやっている瑛司には本当に申し訳なかったです。自分の甘さでチームに迷惑をかけたという思いを、ウインターカップに全部ぶつけていきたいです。

ーーウインターカップは間に合うんでしょうか。

崎濱 間に合います。1回戦からバリバリ出ます。

ーー崎濱選手が不在の間、山口選手はどのようにチームをまとめましたか。

山口 秀斗は試合中に怪我をしたので、まずは「後半は自分が引っ張る」という気持ちでした。自分はプレーをしながらコミュニケーションを取るのが苦手。練習では他の3年生に助けてもらいましたが、試合中のコントロールは大変でした。ただ、試合中にどういったプレーをすればガードが楽になるか考えられるようになったので、秀斗が戻ってきたら生きるかなと思います。

山口瑛司

「秀斗と全世代の先輩方を超える2ガードになりたい」

ーー崎濱選手から見て山口選手が成長したと感じることはありますか。

崎濱 1番成長したところは、チームがフェイスダウン…落ち込んでいる時に、瑛司が鼓舞してモチベーションを上げられるようになったことです。練習中も先生に怒られてシュンとする時があるんですけど、瑛司が積極的に声を出してくれて雰囲気をよくしてくれています。2年の時から比べて最も成長した部分だと思います。あとは自信を持ってシュートを打ってほしいです。入るんですけど、多分色々考えてしまっていると思うので、ウインターカップはかましてくれます。

山口 期待に応えられるように頑張ります。

ーー3年間のウインターカップを振り返って記憶に残っているのは。

崎濱 1年時に3位という悔しい結果で終わり、去年も決勝まで連れて行ってもらったのに、自分の力不足で負けたのが悔しいです。ウインターカップに懸ける思いは、どのチームより、誰より強いと思っています。今年はチームを引っ張って優勝で終わりたいです。

山口 秀斗は1年時からAチームに入っていて、試合に出ているメンバーを見ているので、悔しい思いは人一倍してきたと思います。先輩たちの思いも背負って、優勝して終わりたいです。

ーー来年からアメリカに留学する崎濱選手は、日本語より英語のほうが得意とのことです。語学の勉強にはどのように取り組んだんですか。

崎濱 中学3年生の頃から、夢はNCAAディビジョン1の大学でプレーすることでした。そのために英語は欠かせないので、英語は中学3年から取り組んできました。第一に入ったら勉強の時間が取れないと思っていたんですけど、英会話をする時間を作ったり、学校の休み時間や自主学習時に単語を覚えたりして英語に触れるようにしていたことが英語力向上につながったと思います。

ーー日本語、沖縄弁、英語語を話しやすい順に並べると?

崎濱 1番は英語です。2番目が日本語で、3番目が沖縄語です。

山口 集合の時にたまに英語で話しているので、何を言っているのか分からない時もあります(笑)。でもすごいと思います。

ーー尊敬している選手、憧れている選手は。

崎濱 第一の先輩方、河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)をはじめ、ハーパー・ジャン・ローレンスジュニア選手(東海大)、佐藤涼成さん(白鷗大)、去年の轟琉維さん(東海大)は尊敬しています。先輩方よりも上手になって、日本代表を背負える選手になりたいです。

山口 自分の憧れは第一の全世代のガードです。秀斗と2人でそこを超える2ガードになりたいです。

ーー春からOBの原田裕作先生がアシスタントコーチに就任しました。たくさんのスタッフが影で支えてくれていますね。

崎濱 毎試合毎大会、原田先生をはじめとする先生方が、夜遅くまでスカウティングをしたり自分たちの練習に付き合ってくださる。自分たち以上に体育館に長くいて、学校のことも忙しいと思うんですけど、毎日必死で働いてくれています。ずっと感謝していました。

山口 自分たちよりずっと長く体育館にいて、バスケのこともくわしくて、分からないことを質問すると必ず答えてくれる。いつも一緒にいるので聞きやすいところもあります。トレーナーの西丸太一さんは怪我したところをしっかりケアしてくれたり、いつもマッサージしてくれてありがたいです。

崎濱秀斗

「瑛司と2人で開志のガード陣をやっつけたい」

ーーウインターカップの対戦カードを見た感想を教えてください。

山口 1回戦から油断できない相手が続くので、1カ月間しっかり準備して挑みたいです。

崎濱 仙台大附属明成さんと初戦で対戦するということで周りは驚いていましたけど、自分は別にあまり驚きませんでした。明成さんは一瞬でも気を抜いたら、すぐ攻勢を掛けてくるチームです。

ーーライバルチームは。

崎濱 1番はまだ勝てていない開志国際に絶対に勝ちたい。東山にも公式戦ではまだ勝っていないので、この2チームをライバル視しています。勝ちたいという思いはどのチームより強いと思う。明成さんもいます。1回戦は本当に重要な試合だと思います。

山口 ライバルは開志国際さんと東山さん。当たるとしたら決勝になる福岡大附属大濠さんも、県予選の決勝で負けてるので絶対に倒したいです。


ーー個人的に負けたくない選手はいますか。

崎濱 個人的には去年の決勝でやられた平良宗龍。1学年下ですが、沖縄で小学校時代からずっと戦っていた相手なので。開志国際には澤田竜馬くんもいる。去年の決勝はこのガード2人にやられまくったので、今年は瑛司と2人でやっつけたいです。

山口 開志国際の中島遙希選手です。実は仲良くさせてもらっているんですけど、対戦することになれば倒したいと思います。

ーー最後に意気込みを教えてください。

崎濱 この3年間たくさんの方々に支えられたし、井手口先生をはじめとするスタッフ、コーチ陣にはたくさんのことを教えてもらいました。集大成になるウインターカップは感謝の気持ちを持ってプレーしていきたい。1年生の頃から試合に出させていただいて3位、2年時は準優勝と1年ごとに先輩たちが順位を上げてくださった。最後は優勝して終わりたいです。

山口 福岡第一は人数が多くて試合に出られないメンバーも多いので、メンバーが背負っているものは全国で一番多いと思う。みんなの思いに応えたいです。