グレッグ・ポポビッチ

写真=Getty Images

アメリカの文化では支持派が多い?

スパーズ指揮官のグレッグ・ポポビッチが、昨今のNBAで続くスター選手のトレード要求について言及した。

ポポビッチは、スター選手の要求を「リーグにとってネガティブで、害を及ぼす可能性がある」としつつ、「とはいえ、私は、個人が彼らの人生において希望することを尊重するし、そちらの立場を支持する」と続けた。

直近では、ペリカンズのアンソニー・デイビスが、球団にトレードを要求したことを代理人を通じて公にしたばかり。また、今シーズン開幕前にはジミー・バトラーがティンバーウルブズにトレードを要求し、シーズン開幕後セブンティシクサーズにトレードされた。

近年では、彼ら以外にもポール・ジョージ、カイリー・アービング、カワイ・レナードが球団にトレードを求め、物議を醸した。それぞれトレードを要求した背景は異なるが、これからもスター選手が球団にモノを言う傾向は続くだろう。デイビスのように、フランチャイズプレーヤーが球団にトレードを要求するのは、相当な覚悟を持ってのこと。大半の選手は、NBAでプレーする機会を与えてくれたチームに感謝し、できることならチームを優勝に導きたいと考えている。しかし、キャリアを重ねるごとに全盛期も終わりに近くわけで、個人として優勝できる力のある時に勝てる環境を求める考えも理解できる。それと同時に、これまで育ててくれた球団に今できる恩返しとして、自分と交換で最高の条件を他チームから引き出してもらうためのトレードであったりもする。

しかし球団からすれば、チームを編成する核、集客の要に退団されれば、戦績と収益に大きな影響が出てしまう。難しい判断が求められるケースではあるものの、どのチームにも一つの時代の終わりは必ずやって来る。現場で指揮を執って23年目のポポビッチは、これまでに何度となくチームの転換期を迎え、上手に対応してきた。経営面でのマイナス面を理解したとしても、個人の考えが尊重されることの多いアメリカ文化では、ポポビッチのように、選手の意思を支持する人間が多いのではないだろうか。

デイビスのトレード要求が表に出てからというもの、集団と個のどちらを優先すべきかという問題は、結論を出すのが難しい事柄であると、改めて実感させられる。