数字を残していけばスカウトも見てくれる
──アトランティック10トーナメントで優勝、NCAAトーナメント進出というのはずっと変わらない目標だという話を開幕の頃にしてくれました。新加入選手が8人もいる今のチームは経験不足にも感じます。それでも目標を達成する可能性は感じていますか?
渡邊 3連敗はありましたが、それでも僕はどんな相手でも、自分に言い聞かせるというのではなく、本当に勝てるという自信を持って試合に臨んでいます。今のチームはボロが出た時に一気に離されてしまう部分があるのですが、そこさえ直していけば、まだ若いチームで成長の幅はすごくあると思っています。レギュラーシーズンはあと12試合残っています。僕はA10カンファレンスでも優勝できるとまだ信じています。とにかくこれから結果を出していくだけです。
──シーズン半ばの今は相応しくない話題かもしれないですが、もう3年生ということで、将来についても聞かせてください。NBAのことは2年後の具体的な目標として頭にありますか?
渡邊 ずっとNBAという目標は抱き続けています。もちろん今はこのチームに集中していますけど、大学が終わった後はやはりそこを目指してやっています。自分でも常に意識している部分です。
──今年、チーム内で数字を残さなければいけない立場にいるというのは、今後に向けたアピールという意味でも大きなことですね。
渡邊 そうですね。オフェンス面、ディフェンス面でも数字を残せていれば、スカウトも見てくれると思います。だからこそ、もっと良い結果を出さなければいけません。
──勉強と練習、試合でなかなか時間はないとは思いますけど、NBAも見てますか?
渡邊 はい、見てますよ。
──参考にしている選手はいますか?
渡邊 あまりNBA選手を参考にはできないですけど(笑)、僕はケビン・デュラントが好きなので、ウォリアーズのゲームをよく見ます。もちろん僕と彼とでは比べ物にはならないのですが、背が高く、細身ながらインサイドとアウトサイドが両方できる、といったように、プレースタイルでは似たところがあると思っています。そういう意味でデュラントのプレーには注目しています。
東京オリンピックは『行かなければいけない舞台』
──少しアメリカ生活のことも聞かせてください。アメリカに来たばかりの頃に一番苦労したことは何ですか?
渡邊 やはり英語は最初の頃は苦労しましたね。渡米1年目のセント・トーマス・モア・スクールの時は、相手が何を言っているかもほとんど分からない状態でした。
──『言葉の壁』はどうやって乗り越えました?
渡邊 生徒の中に日本人も何人かいたんですけど、なるべくアメリカ人と話すように、チームメートとずっと一緒に行動するようにしていました。最初は全然分からなかったのですが、少しでも英語を自分に馴染ませようと考えたんです。そうやっていると、みんなもすごく助けてくれる。その中で自分の英語がどんどん上達していると分かりました。英会話は苦労したんですけど、最初にそうやって苦労した分、今ではだいぶ上達しました。
──英語を話すしかない環境に自分の身を置くようにした、ということですね。
渡邊 たまに日本語が恋しくなりましたけどね(笑)。僕としては(日本人と行動してしまうとと)せっかくアメリカにいるのに、英語を喋る、聴く機会が限られてきてしまうので、なるべく英語で聴いて、英語で話してというのは意識しました。
──プライベートでハマっていることなどはありますか?
渡邊 いや、僕は趣味が全然ないんですよ。
──では空いた時間をみつけてはバスケットボールの練習をやっている?
渡邊 そうですね、自主練習です(笑)。
──最後になりますが、日本代表への思いについて聞かせてください。2019年にワールドカップ、2020年に東京オリンピックがあります。そこでの活躍というのは目標の一つとしてありますか?
渡邊 東京五輪には出たいです。去年の夏に代表の一員としてプレーして、結果が残せずに悔しい思いをしました。次に代表に呼んでいただいた時には、自分が結果を残し、チームを勝たせたいという強い気持ちがあります。東京オリンピックは絶対に出たいという気持ちがあるので、日本代表のことは常に意識しています。
──NBAと並ぶ大きな目標なんでしょうか?
渡邊 東京オリンピックは個人的な目標というより、日本代表として『行かなければいけない舞台』という感じです。そのときに自分がNBAのチームに入っていて、なおかつ日本代表に選ばれ、東京オリンピックに出場できたらベストですね。