星野京介

勝久HC「京介はエナジーで一度も問題になったことがない選手」

信州ブレイブウォリアーズは11月8日にアウェーで川崎ブレイブサンダースと対戦し、59-75で敗れた。外国籍が2人のみなど故障者が多い信州は、川崎にサイズ不足を突かれて前半で2桁のリードを許す。第3クォーター途中には平面での激しいディフェンスから流れを変えて2点差まで肉薄するが、第4クォーターになるとプレー強度が落ち、一気に突き放されてしまった。

これで信州は4勝8敗。ケガ人が多くロスター編成に苦しんでいる状況を考えると、第3クォーターの追い上げなどポシティブな要素もあったと言えるかもしれない。だが、信州の勝久マイケルヘッドコーチは反省しきりだった。

「遂行力もエナジーもないプロとして失格のゲームをしてしまったと思っています。厳しい状況かもしれないですが、やるべきことに全て気持ちを入れ、集中してやり切って負けたら悔いはないです。追いついた時間帯や、ハードにプレーした時間帯もありました。ただ、40分間、やるべきことをやれない本当に良くない試合でした。川崎まで来て下った信州ブースターに申し訳なく思っています」

勝久ヘッドコーチは厳しい言葉で試合を総括したが、今の信州はマイナス要素ばかりではない。今オフにジョシュ・ホーキンソン、熊谷航、岡田侑大、前田怜緒と中心選手たちが相次いで移籍する中、新たな中心選手となるべく星野京介が躍進している点は明るい材料だ。

24歳のシューティングガードである星野は、昨シーズンまで特別指定も含めて滋賀レイクスに2シーズン在籍。しかし、昨シーズンも平均8分の出場で1.5得点とローテーション入りを果たすこともできなかった。それが信州に加入すると、エリエット・ドンリーの戦線離脱もあって4試合目から先発に昇格。ここまで平均24分出場、7.2得点と大きなステップアップを遂げており、川崎戦でも29分32秒出場で11得点3アシストと奮闘していた。

勝久ヘッドコーチは、星野についてこのように期待を寄せている。「先ほど、エナジーのことに触れましたが、これはチーム全体のことです。京介みたいにエナジーで一度も問題になったことがない選手もいます。去年、そこまでプレータイムがなかったですが、絶対にポテンシャルはあると信じていて、その期待に応えてくれています。今度はエナジーを保ちながら判断力をもっと高めてほしいですが、この点についても成長しています。今後も期待しかないですし、チームの明るい部分の一つです」

星野京介

「試合に出られなかった悔しさを味わってきたので見返したい」

新天地で飛躍の時を迎えている星野本人は、ここまでの自身のパフォーマンスについて「1日1日を本当に大切にして、日々成長していくのが自分の目標です。まだまだ全然できていない部分もあり、もっと成長しないといけないですが、少しずつできることも増えています。わずかですが手応えも感じています」と語る。

そして自身の潜在能力を信じて獲得し、起用してくれている勝久ヘッドコーチへの熱い信頼を強調する。「練習の1つひとつがきめ細かくて、コーチの下で成長できると感じます。また、試合に負けて厳しい状況が続いた時でも『今は厳しいけど、成長することにフォーカスして』と声かけをみんなにしてくれます。それが自分にとってすごく励み、モチベーションになっていて、成長しないといけないという気持ちにさせてくれます」

また、試合に出られない苦しい状況を長く経験したからこそ、大きなステップアップを遂げつつある現状にも全く満足していない。「プロに入ってあまりプレータイムはなかったので、正直に言って最初は本当に自分がどこまでできるのか分からない状況でした。その不安がある中でも、試合に出られなかった悔しさを味わってきたので見返したい、もっと自分はできるということを見せるため、より頑張らなければいけないと思います」

さらなる進化に向け、今の星野は学生時代から定評のある3ポイントシュートに加え、ハンドラーの能力に磨きをかけている。「シューターとして、高校(中部第一)、大学(大東文化大)とやってきましたが、シューターだけではダメで、ハンドラーとして成長したい思いで信州に来ました。試合でハンドラーの役割を担う機会も多くなってきていますが、ピック&ロールを使えば使うほど、ターンオーバーも増えているのは課題です」

今の星野は光るプレーを見せる一方で、本人も自覚しているように荒削りでミスも少なくない。だが、こういった課題が出てくるのも、昨年までにはなかった多くの時間でコートに立ち、いろいろなことにチャレンジできているからこそだ。

「毎日が自分の中では本当に刺激的です。失敗も成功も経験できていて、充実しています」と語る星野は、育成能力に長けた指揮官の下、エナジー満点のディフェンスと3ポイントシュート、さらにハンドラーもこなせるコンボガードとしてステップアップを続けている。