飯田遼

堅守で5連勝、佐藤ヘッドコーチ「今日はディフェンスの勝利だと思います」

川崎ブレイブサンダースがホームで富山グラウジーズと対戦。40分間を通して強度の高いディフェンスを保ち、タフショットを打たせ続け、相手のフィールドゴール成功率を33.8%に抑え込んだ川崎が72-58で勝利を収めた。これで川崎は5連勝を達成している。

試合の立ち上がりは、ともにインサイドへの積極的なアタックを仕掛けるが決め切れない。ともにボールムーブに欠け、強引なシュートセレクションが目立ち、第1クォーターは川崎の14-10とロースコアの展開に。

第2クォーターに入ると、川崎はこのクォーターだけで7つのオフェンスリバウンドと、シュート確率は良くない中でもセカンドチャンスから得点を重ねる。また、富山の連携ミスをニック・ファジーカスが的確に突いてシュートを決めていくことで、前半でリードを12点に広げた。

後半に入っても川崎は常に3ポゼッション以上の点差をキープする危なげない試合運びを披露。セカンドチャンスポイントで19-6と大差をつけたように、富山の大黒柱マイルズ・ヘソンの欠場でより大きくなったサイズのアドバンテージを生かし、ゴール下で優位に立つことで楽々と逃げ切った。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「オフェンスがうまくいかない中、ディフェンスで我慢を続けることができました。今日はディフェンスの勝利だと思います」と総括。そして次のように具体的なプラス要素を挙げる。

「昨日、(イヴァン)ブバ選手に(9本と)オフェンスリバウンドをたくさん取られましたが、今日はチームとしてしっかりファイトできました。たとえ取れなくてもティップするなど、チームで取ることを徹底できました。そしてクォーターの終わり方、ゲームマネージメントでステップアップでき、控えの選手でディフェンスの強度が上がったところがよかったです」

指揮官が指摘したように、この試合の川崎はブバのオフェンスリバウンドを2本、チーム全体でも9本に抑えた。また、この試合に限らずセカンドユニットの奮闘ぶりが目立っているが、その中でも存在感を高めているのが新戦力の飯田遼だ。

28歳の飯田は今オフに川崎と契約するまで、昨シーズンの香川ファイブアローズなどずっとB2で過ごしてきた。自身初のB1となる今シーズンは開幕戦こそ出場時間なしに終わるが、2試合目からローテーション入りし、約10分のプレータイムを得ている。

第3クォーター序盤、川崎は連続失点でリードを1桁に縮められる嫌な時間帯があったが、そこで飯田は13点リードと再び突き放す3ポイントシュートを決める。さらに外国籍のノヴァー・ガドソンへの身体を張ったディフェンスに加え、味方のターンオーバーから速攻に走られた場面でスティールを奪い失点を防いだ。12分20秒で5得点1リバウンド1スティールを記録し、数字以上の爪痕を残して勝利に貢献した。

飯田遼

「試合に何分出ていても、もっと出たい、もっと良いプレーができたという思いがあります」

佐藤ヘッドコーチは、飯田についてこのように評価している。「まずはシュートです。個人練習などを見ていてもシュートは本当によく入ります。持っている力の片鱗をこの2試合、見せてくれました。ただ、ディフェンスもできる選手なので、もっと目立ってもいいと思います」

そして飯田本人は、自身のここまでのパフォーマンスをこう語る。「チームで作ったシュートチャンスで自分のタイミングで打てていますが、確率が良くないです。もっと決め切れる力をつけないといけません。ディフェンスでももっとやらなければいけないことばかりです。自分より身長が高かったり、身体が大きい選手とマッチアップした時、チームとして守る戦術がある中でファウルをしたり、トランジションを抑えられない時があるのは課題だと思います」

プロ7年目でつかんだ初のB1の舞台、所属するのはチャンピオンシップの常連となる川崎と、これまでのキャリアを考えれば、ローテーションに食い込んでいる現在は順調なスタートを切ったと言えるだろう。しかし、飯田は「まだ、シーズンは始まったばかりで、今の自分に達成感はないです。それに試合に何分出ていても、もっと出たい、もっと良いプレーができたという思いがあります」と、満足していない。

また、「(初めてB1で戦うシーズンということは)意識していないです」とB1、B2でも自身の臨む姿勢は変わらないと強調する。「練習でしっかりした取り組み、準備をすることでチャンスをつかめる。プロの世界は少ないチャンスをいかにつかめるかで、その意識はどのカテゴリーにいたとしても変わらないです。今も出場時間が確保されているとは思っていないです。日々、仲間と切磋琢磨して、試合では一緒に戦うことに集中する。それが大事だと思います」

当然、B1とB2ではプレー強度など大きな違いがある。だが、飯田は良い意味でB1であることを意識せず、自然体でやるべきことに集中できている。ちなみに佐藤ヘッドコーチは「ここ数試合、相手がゾーンディフェンスをやってくることが多いので(3ポイントシュートが得意なため)プレータイムが増えているところがあります」とも語っている。今の川崎は相手のゾーン対策に苦しんでおり、これからの相手も頻繁に使ってくることが予想される。そこで飯田が効果的に3ポイントシュートを決められるかどうかは、これからの川崎のオフェンスに少なくない影響を与えるはずだ。

 

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