デマー・デローザン

「ライバルが強ければ強いほどベストを引き出せる」

今オフのブルズはニコラ・ブーチェビッチやアヨ・ドスンムとの契約延長はあったが、補強はロールプレーヤーのジェボン・カーターとトーリー・クレッグで、目立つものではない。ロンゾ・ボールに復帰の目途が立たないことで、戦力はむしろダウンしたとさえ感じられる。

ブルズは3シーズン前の途中にブーチェビッチを獲得した後、2021年のオフにデマー・デローザン、ロンゾ・ボール、アレックス・カルーソを獲得して勝負に出た。しかし昨シーズンはプレーイン・トーナメントでの敗戦で終わり、その前のシーズンはプレーオフに進んだものの、バックスに歯が立たず1勝を挙げただけで敗退と、結果を出したとは言い難い。デローザンは契約最終年を迎えており、今シーズン前半にチームに浮上の兆しが見えなければ、その時点でチームは解体されるかもしれない。

そんな中、デローザンは、NBA15年目の開幕に向けた準備を静かに進めながら、契約問題について率直な考えを口にする。「エージェントにすべて任せていて、何か連絡があるまで契約のことは意識の外にある。契約のことは考えず、毎日『今日もバスケができる』と感謝しながらコートに足を踏み入れているよ。もっと上手い表現で伝えられたら良いんだけど、僕はただNBAのユニフォームを着てプレーすることが幸せなんだ。僕が意識するのは勝つことだけで、自分にコントロールできることをコントロールしようとするだけだ」

昨シーズンに結果を出せず、そのチームに大きな補強もないことで開幕前の評価は高くないが、デローザンは期待とともに開幕を迎える。「継続はとても大事なんだ。グループとして勝つために何が必要なのか、それはグループとして失敗しなければ分からないこともある。時にはみんなで壁にぶつかり、互いに助け合って立ち直って前に進む。そうやってチームは成長していくんだ」

東カンファレンスではバックスがデイミアン・リラードを、セルティックスがドリュー・ホリデーを獲得し、トップチームが注目を独占している。「とても良い状況だね」とデローザンは言う。「ライバルが強ければ強いほど、それに対抗したいと思って自分のベストを引き出せるものだ。そうやってすべての試合でベストを尽くしていく。僕はチームメートにもそう伝えているんだ」

昨シーズンのデローザンは24.5得点、4.6リバウンド、5.1アシストを記録。力はまだまだ衰えていないが34歳になり、次の契約は金額を抑えられたり、年数が短いものになるかもしれない。そうさせないためにも新シーズンに良いパフォーマンスを見せることが必要だが、彼にその意識はない。ただチームの勝利のために、デローザンは準備を進めている。