現役を引退したユドニス・ハズレムの後継者に「準備はできている」
デイミアン・リラードはヒートでプレーすることを望んでいたが、それは実現しなかった。ヒートとトレイルブレイザーズは交渉を行ったものの合意には至らず。トレーニングキャンプ開始を目前に控え、急転直下でバックスがリラードを獲得した。そのトレード要員としてバックスを離れたドリュー・ホリデーは、再びのトレードでセルティックスへ。昨シーズンの東カンファレンス1位のバックス、2位のセルティックスが、強力な補強を行ったことになる。
東カンファレンス8位からNBAファイナルまで勝ち進んだヒートは、バックスやセルティックスとは対照的に動かなかった。優秀なロールプレーヤーだったゲイブ・ビンセントとマックス・ストゥルースが移籍し、戦力ダウンを埋められないまま新シーズンを迎える。
それでもヒートに動揺はない。移籍市場の注目株が動いてもどっしりと構えたまま、自分たちのやるべきことに集中している。戦力不足で開幕を迎えたとしても、長いシーズンを戦ううちにアジャストし、勝負の時期にはチームを仕上げる自信がある。
そういう意味では戦力の1枚2枚が欠けたことより、チームを精神的に支えていた地元出身の大ベテラン、ユドニス・ハズレムの現役引退がヒートにとっては大きな損失なのかもしれない。それでも、ハズレムの後を継ぐ『ヒート・カルチャーの担い手』はすでに決まっている。NBA7年目のシーズンを迎える26歳のバム・アデバヨだ。
チーム始動を前にしたワークアウト中に『Miami Helard』の取材に応じたアデバヨは「簡単な役割じゃないし、自然と僕に回ってくるようなものでもない。でも、準備はできている」と語る。
「キャリア最初の1年半は(ドウェイン)ウェイドがいつも相談に乗ってくれた。ここまでずっとUD(ハズレム)が支えてくれた。その役割がどんなもので、どうあるべきかを理解するには十分な時間があった。新しく加わった選手が僕たちと一緒に戦い始める時、それがどういうことかを僕が説明する。『ヒート・カルチャーの担い手』というのは、多くの責任を伴うし、無私の精神が必要だ。自分のことばかり考えていてカルチャーを担うことなんて無理だからね」
「ヒート・カルチャーが何かを誰かに教える時は、日常生活と結び付けるようにしている。自分が生活する中で、その基準より低いと感じれば修正する。僕らは平凡を好まない。平凡なままであることを良しとはしないんだ」
それがアデバヨにとって、新シーズンの新たなモチベーションにもなっている。「負けたことは常にモチベーションになる。もっと上手くやれたはずだ、何がもっと上手くやれたんだろう、違うことができたはずだ、と常に考えているよ。昨シーズンに成し遂げられなかったことを今シーズンはやりたい。そのための足掛かりはもうあるんだ」