SHUN

妹分『United Archers』の地域貢献を実感

株式会社ティーアンドエスはクラブの垣根を超えて香川県を盛り上げようとする香川ファイブアローズに手を貸し、『FIVE ARROWS DANCE PROJECT』を2021年に発足。その結果、香川県在住者だけで結成されたパフォーマーチーム『United Archers』を生み出した。彼女たちは香川の公式パフォーマンスチームとしてだけではなく、地域のイベントやメディアへの出演など、香川の活性化に尽力している。

地元で高い認知度を得るようになった『United Archers』だが、彼女たちの全プロデュースを行ったのが、テックダンスフュージョン集団として知られる『CONDENSE』だ。グループでラップを担当するSHUNは、成功に終わったこのプロジェクトを感慨深げに振り返った。

「試合は試合だけど、『ファイブアローズの試合会場に来たらもう楽しい』みたいな空間を、僕たちなら演出できるんじゃないかって思っていました。チアではないパフォーマンスグループということで、本当にオーディションでイチから選んでいきました。ライブをすることが初めての子もいたので、最初のうちは僕たちも一緒にオープニングで踊ったり、パフォーマンスしていました。最初は探り探りな感じがありましたが、ライブを重ねるにつれてめっちゃ盛り上がっていきました。それが試合の応援にもちゃんと繋がり、バトンを繋げれられているという実感がありました」

9月18日には『United Archers Festival』が開催され、『CONDENSE』も応援に駆けつけた。SHUNはゲストライブを行うだけでなく、Archersがリリースした楽曲『Feel Good』を手掛けるなど、多彩な能力をフル活用して『妹分』の背中を押した。SHUNは言う。

「Archersが香川で主催して、いろんな地域の人たちを呼んでフェスをやる。彼女たちの一つの集大成を見た気がしました。パフォーマンスグループなので、踊る曲が自分たちの曲としてあったらいいよねということで、今回のフェス用に新曲を作りました。チアから、チアじゃない形での応援となり、Archersだけの表現みたいなところを僕たちは追及してきました。ファイブアローズの試合だけど、Archersのタオルを持っている人がいたり、そういうのを見ると地域活性に貢献できているんだなって思います」

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「結局、世の中が元気になったり、人が楽しくなることが大事」

ヒップホップダンスの世界大会で優勝するなど、『CONDENSE』のメンバーは世界で闘ってきたスペシャリスト集団だ。そのため、メンバーが個々にワークアウトを行ったり、アーティストの振り付けを担当することはある。ただ、Archersのように、一つのグループを生み出すことは初めてのことだった。だからこそSHUNは「Archersのパフォーマンスが成長していく過程も見れて、本当にプロデュースをして良かった」と言う。

「新しいチーム、後輩を作ることは初めてだったので、『CONDENSEイズム』をどう受け継いでいってもらうかはめっちゃ考えました。パフォーマンスメンバー、ラッパーとしてなど、それぞれの考え方があり、その中で育てていくというのは難しかったです。でも、ちゃんと自立して、チームとして何を伝えたいかというのが明確になってきているので、感慨深いものがありますね」

昨年の10月8日、9日には、サンロッカーズ渋谷のBリーグ開幕戦のプロデュースも行った。9日はサポートダンサーを率い、CONDENSEのSHUN、植木豪、ZiNEZ a.k.a KAMIKAZEの3人が『Libera Ball(ワイヤレスにて音楽とシームレスにシンクするフィジカルなボール)』を使って、オープニングパフォーマンスを行った。最近は作詞や楽曲提供を発注されることが多いというSHUNだが、「自分たちがプロデュースして、自分たちにできることを120%で表現したい」というポリシーが詰まったオープニングアクトだったと振り返る。

このように精力的に活動を続けてきたSHUNだが、音楽の形や価値が変わっていく流れを受け、自分を見失いかけたこともあったという。それでも、株式会社ティーアンドエスの代表取締役を務め、支援を受けている稲葉繁樹と出会ったことで迷いはなくなったという。

「物事の価値の移り変わりが早い中でコロナもあり、音楽の価値って何だろうって思い、一度所属した事務所を全部辞めて自分を見つめ直した時期がありました。一人でイチからどこまでやれるかを考えていた時に繁樹さんと会いました。アーティスト側がやりやすい環境を作ってくれて、じゃあ一緒にやろうぜとなり。大きい会社のボスですけど、特攻隊長系というかバイブスを持っている人なんですよね(笑)。結局、世の中が元気になったり、人が楽しくなることが大事という考え方だったり、人に見てもらってこそ価値があるなど、繁樹さんから学ぶことはめちゃくちゃ多かったです。ヒップホップというカルチャーが好きで突っ走ってきましたけど、あらためてCONDENSEでもソロでも、おもしろいことをやるという共通認識を持って進んでいきたいです」

一度歩みを止めたものの、再び目指す方向性は定まった。「小4からダンスとラップしかしてきていない」というSHUNの、マルチな活躍に今後も期待したい。