恩塚HC「朝比奈選手にプレータイムを与えて成長の機会にしたい」
バスケットボール女子日本代表はアジア競技大会に向け強化を進めており、パリ五輪最終予選(OQT)に向けた貴重な実戦機会であることから、フルメンバーで今大会に臨む。
日本はアジアカップ決勝戦で中国に71-73で競り負け、大会6連覇を逃した。中国はアジアカップを欠場していた200cmのリー・ユエルが復帰し、205cmのハン・シュとのツインタワーが復活と、3カ月前のチームよりもさらに強力になったと予想されている。日本が中国を上回るにはインサイドの攻防でアドバンテージを取られないことが大切で、朝比奈あずさへの期待は以前よりも高まっている。
実際に恩塚亨ヘッドコーチは「髙田(真希)選手を中心にして、今回は朝比奈選手にプレータイムを与えて成長の機会にしたい」と公言している。朝比奈も「チャンスは自分でつかまないといけない」と言う。
「この合宿が始まってから、自分にもチャンスがあると日頃から言ってくださっています。遠慮したりすると自分にとってプラスにならないし、チームにとっても迷惑になってしまうと思うので、やるべきことはしっかりやって 代表選手に選ばれたからにはプライドを持ってやっていきたいと思っています」
185cmの朝比奈は髙田と並び、今回のメンバーで最高身長だ。中国がツインタワーの布陣を敷いてきた際には必ず彼女の力が必要となる。朝比奈も「高田選手とはまた違う自分の良さを出していきたい」と意気込んだ。
「センターとして海外の強い選手に対してポストのファイトだったり、ゴール下で身体を張り、オフェンスではスピードやシュート力を生かしていきたいです。自分で得点を取りに行くこともチャンスだと思うので、人任せにするプレーだけじゃなくて自分から攻めに行ったり、チームメートの攻めに対してしっかり合わせて、シュートチャンスを作ることができたらと思っています」
大黒柱の髙田とのマッチアップで日々成長
常に自身よりも身長が高い選手と戦ってきた髙田は、アジアカップでMVPを受賞したハンを一人で守り切る場面があるなど、経験から来る守備力を発揮した。朝比奈はそんな百戦錬磨の先輩からのアドバイスを大切にし、日々成長を続けている。
「髙田選手はデイフェンスの対応を見てからプレーを選択しています。スマートで、ベストな動きをされているなって思います、そういうプレーを見て盗むのもそうですし、ハドルを組んで集まって話している時に、スクリーンはもうちょっとこうやった方がいいよねって言ってくれるので、そういうところも意識しています。練習の中でマッチアップして感じることもあるし、同じチームでやって感じるところもあるので、一緒にやれているのはすごく大きいです」
髙田の存在感の大きさは日本の中でも群を抜いている。しかし、現在34歳とベテランの域に達している彼女におんぶにだっこでは、この先の発展に繋がらない。また、今回はメンバーから外れたが、長年日本のインサイドを引っ張ってきた渡嘉敷来夢も32歳で、彼女たちの後継者を育てなければならない。朝比奈はそれが自分の役目であることを自覚している。
「大先輩の高田選手、渡嘉敷選手がいるんですけど、自分が入れさせてもらってる以上はもっと強くなっていかないといけません。もし2人が引退された時、自分が安定してプレーできることを見せたいです。今のうちに先輩方の姿を見て、いろんなことをどんどん吸収して、追い越せるぐらい自分がもっと上手くなってやっていかなきゃいけないと思っています」
今後の日本のインサイドを担うであろう朝比奈。プレータイムが確約された今回のアジア競技大会は、彼女にとってターニングポイントとなるかもしれない。